企業と消費者の間を繋げるサービス「Crowdtap」

皆さんは「マーケティング3.0」という言葉をご存知でしょうか?
去年あたりからよく聞く言葉なのでご存知の方も多いと思いますが、ループス・コミュニケーションズの斉藤 徹さんのブログから一部引用させて頂きますと、

ソーシャルメディアをプラットフォームとする新しいマーケティングでは、企業が一方的に製品を作り、一方的に宣伝して売ることはしない。
商品サービスを企画する段階から、商品開発、商品販売、そして販売後の顧客サポートにいたるまで、生活者はその知見を無償で提供してくれたり、優秀な営業マンになってくれたりする貴重な存在となりつつある。

とあります。そして、そのような新しい企業の生産活動をまとめたのが下の図になります。

(via マーケティング3.0時代、ソーシャルメディアのビジネス活用術
 
今回は、この「マーケティング3.0」時代の企業の生産活動をクラウドソーシングを活用してサポートするスタートアップ「Crowdtap」をご紹介したいと思います。
 
■ 基本データ

  • NY発のサービス
  • 創立は2009年10月(正式リリースは2011年3月)
  • シード・ファンディングで300万ドル、シリーズAで700万ドルの計1000万ドルを資金調達
  • ユーザー(モニター)数は約15万人(正式リリース後から10万以上増加)
  • メジャーブランドなど約50社が利用

Crowdtapの仕組みを簡単に表したのが下の図になります。

(Crowdtapは広告代理店やリサーチ会社などとパートナーを結んでおり、トータル的な企業サポートを行っているようです。)
 
では実際にサービスを見ていきたいと思います。
まず下の図がログイン後のダッシュボード画面になります。

赤枠で囲ってあるそれぞれの項目を説明すると

  • レベル・・・Cardboard、Plastic、Oak、Bronze、Silver、Goldというランクがあり、レベルが上がるにつれて特典をもらえたり、より企業との関わりが深いアクションのオファーを受けることができる。
  • アクション・・・アンケート、投票、ディスカッション、サンプリングなど。サンプリングなどは一定のレベルを超えないとオファーが来ない。
  • キャッシュ・・・友達を招待したり、特定のアクションをクリアしたりするともらえる。Amazonギフトカードに交換するか、好きな団体(自然保護、動物愛護、教育、災害救助など)に寄付できる。
  • ポイント・・・アクションをクリアするたびに必ずもらえる。一定のポイントを超えるとレベルが上がったり、バッジがもらえたりする。
  • クオリティスコア・・・ユーザーの評判を表す。積極的にアクションに参加したり、アンケートにしっかり答えたりするとアップする。高ければ高いほど新しいアクションのオファーを受けることができる。

となります。では実際にアクションを試してみたいと思います。自分のホーム画面を開いてみるとquick hitsというものが表示されています。

quick hitsには投票やフィードバッククエスチョンなど5種類のタイプがあるのですが、最初のうちは一番簡単な投票形式のクエスチョンが多いようです。徐々に慣れさせていって、少しずつハードルを上げていくのではないでしょうか。また、回答すると毎回集計結果が表示されます。

質問ばかりが延々と続くと退屈なので集計結果を見せることで、心理的な負担を軽減させているのかもしれません。ちなみに、quick hitsの中にはYoutubeの動画などと連動させた「Web Share」というものもあります。例えば下はBingの例です。
 
Step1. リンク先のYoutubeの動画を見て、良かったかどうかを評価

Step2. 友達へシェアするかどうか尋ねる(友達4人が動画を見て評価を行うと1ドル獲得。加えて1人が評価するごとに100ptを獲得)

Step3. FacebookやTwitterでシェアする

ちなみに細かいのですが赤枠で囲んだ部分「Relax… You’ll be able to edit your message before submitting it.」と書いてあり、ユーザーの心理的な不安を解消するようなちょっとした工夫があります。また、ブログなどに貼り付けられるように短縮URLを表示するなどシンジケーションの仕組みもちゃんと考慮されています。
 
実際にFacebookなどにPOSTされたURLをクリックしてみると以下のような画面が表示されます。これはCrowdtapのユーザーでなくても参加することが可能です。

赤枠で囲んだ部分を拡大してみると下の図のようになっており、ここでもユーザーの参加を促すような工夫が垣間見れます。

そして実際に評価すると次の画面が開いて、さらなる友達へのシェアを促します。Crowdtapのユーザー間だけでなく、その友達、さらに友達の友達にまでシェアを促す徹底ぶりには感心させられます。

quick hitsは10個の質問が続き、それが完了すると下のような画面が表示され友達をCrowdtapへ招待するように促します。

このような感じでquick hitsを繰り返し、ポイントやバッジを獲得していき、自分のクオリティスコアを上げていきます。なお、このquick hitsの質問ですが、例えば「子供に男の子がいますか?」「子供に女の子がいますか?」という質問が続き、何問か後に「子供を持っていますか?」と質問したり、定期的に同じ質問を繰り返すなど、どうやら回答の整合性をチェックして、その人の信頼性を判断しているような気がします。
また、quick hitsの中にはCrowdtap自身が質問者となって質問を行う場合があります。

当然これはマーケティングデータとして用いていると思いますが、それ以外にもこの集計結果をブログに掲載し、メディアへの露出を高める用途にもなっているようです。
例:http://crowdtap.it/2011/07/brand-advocacy-and-iced-coffee/
以上、駆け足ではありますがCrowdtapの主な機能を見てきました。(もっと使っていけばディスカッションやサンプリングなどにも参加できるのですが、時間が足りずに残念ながらそこまで到達することができませんでした。。。)
やはり、ここでも以前の記事でご紹介した「Gamification」の要素が盛り込まれていることは皆さんもお気づきになったことかと思います。試しにCrowdtapのエンゲージメントループを図にすると下のようになります。

最初は投票などの簡単なところからユーザーと企業との関係を深めていき、ユーザーのレベルに応じてこのループを回すことによって、ディスカッションやサンプリングなど共創の関係を築いていっているのではないでしょうか。加えて、パーティなどのリアルなイベントやブログを使ったコンテストを開催するなどしてユーザーとのエンゲージメントをさらに深める工夫は非常に大事なことだと思います。
今回はCrowdtapを取り上げましたが、機能自体は非常にシンプルです。しかし、私見ですがこのシンプルさがサービスのコンセプトを明確にし、スタートアップサービスをスケールさせる際に非常に重要なポイントになると思っています(もちろんCrowdtapのようにただシンプルというだけでなく、隋所に細かい工夫を施すことは必要ですが)。
今後もこのブログでスタートアップサービスを実際に使ってレポートしていきますので、皆さんがサービスを作る際の何らかのヒントになれば幸いです。

プロフィール
本田 雄三(ほんだ ゆうぞう)
主にWeb系の開発を行っています。 「ソーシャルメディア」、「スタートアップ」、「スマートフォン」、「クラウド」関連の情報をちょっぴり技術寄りな視点で発信していきたいと思います。



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