EコマースにおけるAPIの役割りとは

以前このブログでAPIについて取り上げました。

APIをビジネス視点で考えてみる

この中でAPIのビジネスへの活用について触れたのですが、e-commerceにおいてAPIを活用することがビジネスを拡大する上で非常に重要な戦略になりつつあります。以下の動画はアメリカの家電量販店「Best Buy」が作成し公開しているものです。

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Best Buyでは「BBYOPEN」という取り組みを行っており、開発者に対して積極的にAPIをオープンすることでBizDevのアウトソーシングを上手く行っています。その結果、今では一月あたりのAPIコール数は2億5000万回にも及ぶなど多くのトラフィックを生み出すことに成功しており、今後マーケティングの最優先事項としてAPI戦略に取り組んでいくことを計画しています。また、ネット通販・ネットオークションの最大手「ebay」もAPIに力を入れている企業の一つで、ebayの出品のうち60%以上がAPI経由で行われており、その他のAPIと合わせると一月あたりのコール数は130億回以上という膨大な量に及びます。(なお、ebayでは自社で開発したSOAフレームワーク「Turmeric」をオープンソースとして公開していますので、ご興味のあるエンジニアの方はご覧になってみて下さい。)

今後マーケティングにおいてオープンなAPIプラットフォームが重要な要素になると言われています。そこで今回は、e-commerceにおいてAPIにはどのようなものがあり、そしてどのような役割を果たすのかについて簡単にまとめてみたいと思います。

まずe-commerceにおけるAPIの全体像を捉える為に、e-commerceを構成するプレイヤーを大まかに分類してみると「Purchaser」、「Seller」、「Publisher」の3つが挙げられます。ここでいうPublisherは、例えばアフィリエイトネットワークやアグリゲーションサイト、サードパーティープロダクトのようなものを表し、PurchaserとSellerの間を仲介する役割を果たします。この中でAPIは大きく分けてPublisher向けのAPIと、Seller向けのAPIの2種類に分類することが出来ます。次に、このPublisher向け、Seller向けの2種類についてそれぞれ見ていきたいと思います。

 
■ Publisher向けのAPI
Publisher向けのAPIは製品のリスト、レビュー、価格、クーポン、宣伝などSellerの様々な情報をPublisherに提供する役割を果たします。PublisherはこれらのAPIを組み合わせてオリジナルのコンテンツを作成しPurchaserに提供します。これらのAPIはコンテンツを手軽にリッチにしてくれますし、アフィリエイトのように収益モデルが始めから組み込まれているものも多いため、Publisherから非常によく利用されます。アメリカのAmazon、Best Buy、Zapposなどの大手小売は自らAPIをPublisherに提供することによって、自分達のサイトに多くのトラフィックを集めることに成功しています。なお、Publisher向けのAPIは以下のようにいつくかのカテゴリーに分類することができます。

  • Affiliate Netowrks APIs・・・商材データの検索や広告のフィード、手数料収入のレポーティングなど(LinkShareCommission JunctionAffiliate Window
  • Product Search and Pricing APIs・・・詳細の商品データの取得、価格比較など(AmazonebayShopping.comshopzilla
  • Location-based APIs・・・ローカルディールの情報の取得、位置情報と連動した近隣の売買情報など(RetailigenceMilo
  • Reviews APIs・・・ユーザーレビューの取得など(YelpGoodGuideCityGrid
  • Group Buying and Deals APIs・・・デイリーディール、共同購入情報の取得など(GrouponYipitDealMapMyDealBag

 
■ Seller向けのAPI
Seller向けのAPIはPublisher向けAPIが主にデータのreadが中心なのに比べて、read/writeの両方を兼ね備えているのが特徴です。その種類も商品の掲載、決済、商品の製造から配送までと幅広く、オンラインコマースをシームレスに進める上で欠かせないものになっています。言い換えると、これらのAPIを利用してコマースの様々なプロセスをいかに自動化できるかが、ビジネスを成功させる上で非常に重要なキーになってくるということになります。Seller向けのAPIも同様にカテゴリー分けしてみると以下のようになります。
 

  • Merchant Service APIs・・・商品の掲載プロセスの自動化など(Amazon MarketplaceBigCartelEtsy
  • Transactional and Payment Services APIs・・・インボイス、請求書の作成、クレジットカードのキャプチャリング、払い戻し処理など(PayPalGoogleFortumo
  • On-Demand Manufacturing APIs・・・パーソナル商品の製造、オンデマンド印刷など(CafePressZazzleLulu
  • Fulfillment APIs・・・商品の発注から決済、ピッキング、配送まで(Amazon Fulfillment

 
■ 進化を遂げるAPIとDistributed Commerce時代の幕開け
ここまでPublisher向け、Seller向けAPIについてそれぞれ簡単にまとめてみましたが、APIは新しい時代に向けて進化し続けています。例えば今まであるアプリで商品を購入しようと思った場合、直接アプリ内では購入することはできずに、一旦ストアフロントに移動して購入していたと思います。しかし、最近では以下のようなAPIを介してアプリ内で直接購入できるようにするサービスなどが出始めています。

e-commerceのトランザクションは右肩上がりで伸びていき、Invesp社の予測では2015年には1兆4000億ドルに達するとみられています。消費者はデスクトップPCがメインの時代から、モバイルに移り、モバイルも携帯電話だけでなく様々なデバイスにフラグメント化していますし、e-commerceが利用されるシーンもローカル化し、ソーシャルネットワークとのインテグレーションも急速に進んでいます。ZarrlyのようなIn-Personトランザクションも増えてくるかもしれません。

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そして、このDistributed Commerceの時代においてAPIが非常に重要なポイントとなるのは間違いないでしょう。企業はいかに自分たちが持っているデータをAPIを使ってオープンにし、外部からのイノベーションを持ち込んで新しいブランドを作り上げていくか。そこが今後のビジネスにおける重要なポイントになるのかもしれません。

(おまけ)
アメリカの靴のオンライン小売「Zappos」もAPIを公開しているのですが、その中に面白いものを見つけました。
API: CoreValue
名前から想像つく方もいらっしゃると思いますが、試しにコールしてみると以下のようなものが返ってきました。

さらにヘッダーをのぞいてみるとこんな風になってました。

さすがZappos、「Wow」の精神はこんな所にも生きているようですw

プロフィール
本田 雄三(ほんだ ゆうぞう)
主にWeb系の開発を行っています。 「ソーシャルメディア」、「スタートアップ」、「スマートフォン」、「クラウド」関連の情報をちょっぴり技術寄りな視点で発信していきたいと思います。



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