スマートデバイスとクラウドの素敵な関係

昨今、スマートフォンに関する話題が増えている。これは、iPhoneから始まり、Androidの拡大、更にはWindows Phoneの登場と、多くの端末が発売され、様々な用途で急速に普及したことが要因である。

ITmediaで”スマートフォン”をキーワード検索したところ、10日あまりで50件以上*の記事があった。*9・18時点
実に1日2件のペースでスマートフォンに関する何らかの記事があり、その内容も、ゲームなどのアプリケーションに関するもの、通信技術に関するもの、新端末に関するものなど、毎日様々な情報が書かれている。

米調査会社Gartnerの調査によると、世界の携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの割合が25%になったとのこと。新規販売される携帯電話の4台に1台がスマートフォンだということである。
※参考URL : ITmedia http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1108/12/news015.html

また、米調査会社ニールセン(Nielsen)が7月に実施したアンケート調査によると、米国のスマートフォン所有率は40%に上るという。

※出典:Nielsen
※参考URL : Wirelesswire NEWS http://wirelesswire.jp/Watching_World/201109021141.html

これらは米国の状況だが、日本でも同様の市場になるであろうと、多くの方が予想している。
このスマートフォンが、これまでどのように普及してきたのか?そして更に普及が加速すると言われている理由を考察してみたい。

●BlackBerry
オバマ大統領が利用したことで知られるBlackBerryもスマートフォンとして認知されている端末である。オバマ大統領は、元々大統領になる前からBlackBerryを愛用し、かなりのヘビーユーザであった。大統領になった後、最高機密のセキュリティが必要とされる連絡用途に使えるようカスタマイズして利用継続するというエピソードがある。

-COMPUTERWORLD オバマ大統領の「BlackBerry問題」、使用継続で決着

このBlackBerryの歴史は古く、1997年に発売開始している。当時はスマートフォンという概念もなく「電子メールが出来るポケベル」と言われていた。現在、欧米を中心に、世界で4000万人以上が利用し、1億台以上が販売されている。

機能としては、スケジュールやアドレス帳、電子メール、Internet、マイクロソフト社のOfficeアプリケーションやPDFの閲覧といった、今では当たり前のサービスを標準提供した。また、一番の売りはビジネス用途にあり、複雑な設定をせずとも社内インフラにセキュアにアクセスできるソリューションを提供しており、ビジネス用途に利用する企業が多く導入している。日本でも、外資系企業を中心に約4,000社が導入をしているとのことである。

このように、BlackBerryを提供するRIM(Research In Motion 本社:カナダ)は、単純に端末だけの提供ではなく、電話というコミュニケーションを司る端末に、もっとも利用するであろう付加機能をセットで販売した。これが受け入れられ広く世界で普及したのだ。
日本でBlackBerryのソリューションを提供するNTTドコモのホームページに仕組みが図解されている。

※参考URL : NTTドコモ http://www.docomo.biz/html/product/blackberry/service/

ご覧のとおり、ネットワークや社内システムに接続するサーバーもセットで提供するサービスモデルである。

ところで、以下の図を見て欲しい、これはNECが提供するクラウドソリューションの概念図である。

参考URL : NEC http://www.nec.co.jp/solution/cloud/

外出先でスマートフォン含めたスマートデバイスを使うことを促し、企業内のシステムにもシームレスにつながるという、いわゆる「クラウド」のシステムを説明した概念図である。NECに限らず、国内大手IT企業は軒並み同様のクラウドソリューションを提供している。
BlackBerryの提供ソリューションも、この図に似ていることが良く分かる。実は、モバイルとクラウドが連携した一つのソリューションなのである。

クラウドという言葉が生まれる前から、モバイル端末とクラウドの連携は相性の良い関係であった。

●スマートデバイスとクラウドの関係
MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)という団体がある。通信キャリア、メーカー、システムインテグレーターが連携しモバイルを使ったICTシステムの普及促進を図る目的で設立された。

このコンソーシアムでは、毎年「MCPC award」を開催しており、業務効率化や先進的なモバイル活用、社会貢献をしたモバイルソリューションに対して表彰している。本年の受賞例を見ると、そのほとんどが「クラウド連携」しており、クラウド側のデータとデバイスに表示される結果を基にしたソリューションである。
この傾向は過去の受賞作を見ても変わらない。フィーチャーフォンをベースとして、クラウド型のサーバー連携を行うことで、効率を上げるというものが多く、ここ数年はスマートフォンやタブレットを活用したマルチデバイス化*の傾向もあり、システム全体像は、デバイスを使うユーザと入出力データを管理するクラウドサーバーという構図である。

*車をモビリティ性の観点からデバイスと見立てた事例もあり、スマートフォンだけの話では無いため、タイトル上の表現は「スマートデバイス」 とした。

日本ではフィーチャーフォンの時代から高機能であり、クラウド連携(クラウドという表現が生まれる前から)することにより、主にビジネス用途に開発され進化してきた。これがスマートフォンのように更に多機能化し、その機能を簡単に開発できる環境が整いつつあることから、更なる普及が加速したのである。

筆者の過去エントリーでも触れているように*携帯電話を始めとするスマートデバイスは、クラウドとの連携により威力を発揮する。複雑な処理、大容量のデータベースはクラウド側に任せ、端末側では、簡単な処理を行い演算結果を表示する。ここに、”持ち運べる”という要素が追加されることで、入力端末として、クラウド側へのフィードバックが出来るのである。

*クラウドってなんだろう?

一例を挙げてみる。
MCPC awardの2010年受賞事例である、青山学院大学の「スマートフォンを活用した資格取得支援」では、学生にスマートフォンを支給して専用アプリケーションをインストール、センター側では資格試験用の教材データを配信することで、いつでもどこでも学べる環境を実現している。また、学習データが全て一元管理できるため、進捗管理をすることができ、学習状況に応じた受験者へのフィードバックが容易になっている。他者のデータと比較しランキングや進捗を競わせる等の仕組みも提供する。

このように、結果を表示するだけではなく、スマートフォン上での操作や選択をクラウド側に蓄積すれば、分析等を行い結果をデバイスに返すことで、更なる活用を促し、PDCAサイクルが回っていく。スマートデバイスとクラウドが連携することで、新たな価値を生み出しているのである。

参考URL : MCPC http://www.mcpc-jp.org/

 

●今後の傾向
これまで主にビジネス用途であったスマートデバイスとクラウドの関係だが、個人利用でも拡がる傾向にある。

今年、AndoridとiOSという2大勢力であるGoogleとAppleが、共にクラウドに言及した。

Googleの2011年の目標は”モバイルクラウド”
 ⇒Googleが得意とするパーソナライズされた情報発信にはモバイルが最適であると言及し、今後モバイル対応を強化する。

参考URL : IT media http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1106/07/news020.html

Apple、iOS5とiCloud、音楽クラウド「iTunes Match」を発表
 ⇒Apple社の提供するPCやタブレット、スマートフォンをシームレスに接続するクラウドと、音楽配信用のクラウドサービスを提供する。

参考URL : IT media http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1106/07/news020.html

例えば、Android OSを搭載したタブレットやスマートフォンを複数所有したとする。Googleの提供するクラウドに接続していれば、Gmailやカレンダー、連絡先の共有だけでなく、フォトアルバムやマーケットからダウンロードしたアプリケーションの管理まで、デバイスを選ばずシームレスに使えるようになる(既になっている)
Appleの目指す世界もそこにあると言える。元々音楽プレイヤーから派生したiPhoneだから、音楽配信のクラウド化はどのようにサービスが進化するのか、筆者は、とても楽しみである。

今後益々身近になるスマートデバイスは、クラウドと切っても切り離せない関係にあり、ビジネス用途だけでなく、より暮らしに浸透したものになってくるであろう。ユーザにとっては、それが「クラウド」であると意識することなく使える環境であり、本エントリーは事業者の都合で解釈しているに過ぎないのかもしれない。ただ、知っておいて損は無いと思っているため、掲載することとした。

今回のエントリーは、全てを網羅している訳ではなく、今後の話に至る導入部である。
本テーマについては、もう少し深堀したい部分と、将来性についても掲載したいと考え、シリーズ化いたします。

次回は、スマートデバイスとクラウドの素敵な関係を、Androidにフォーカスして掲載します。

プロフィール
阿部 大輔
阿部 大輔(あべ だいすけ)

通信業界で働いています。社会人になってから、技術畑を歩み続けていたのですが、転職を機に企画へ。5年前からSaaSの世界に足を踏み入れ、「日本の働き方を変える」と意気込みここまでやってきました。まだまだ変わることができる機会は沢山あると思います。その推進力の一端を担えるように業務をこなす毎日です。




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