富を独占するより、分かち合った時、自分だけが儲けた時より人の快感は五倍に達する

先日、ヒューマン「なぜ人間になれたのか 第4集 そしてお金が生まれた」を見た。とても興味深い内容だったので、紹介したい。

「麦」から始まった貨幣という習慣は、やがて腐食せず保管の出来るコインになった。お金を稼ぐことが動機となり「職業」がうまれ、やがて「都市」が誕生した。

しかし、お金を儲けるという行為は脳の腹側線条体を刺激し、儲けは快感を生み出す。それにより儲ける人はさらに儲け、格差が生まれ、奴隷や争いが起きた。欲望のままに求め、やがて資源を使い尽くした「ギリシャ文明」は衰退の一途をたどることになる。

自分たちを滅ぼす未来が待ち受けていたとしても止まらない欲望。それは、永らく、腹側線条体から得られる快感によって、お金を儲けること快感が原因だと考えられていた。しかし、持つものが持たざる物に富を「分かち合った時」、腹側線条体が自分だけが儲けた時より、五倍の快感を得るという結果が得られた。

この分かち合うという行為は他の動物には無い行動特性であり、「人間にしか出来ない行為」なのだ。「儲け」を求め続けたから私たち人間は発展したのでは無く、時に助け合う「分かち合い」によって、幾多の災害にも負けず、私たち人間は滅亡することなく発展してくることが出来たと考えられる。

2025年には更に人口は増加し、地球上の資源が枯渇し「分かち合う」必要が出てくる。今、改めて「地球人」として「分かち合う」が求められているのではないか。

■お金が職業を作り、組織が生まれ都市が誕生した
 最近、良く目にするキーワードに「お金を稼がない生き方」というライフスタイルが一つあると思う。そこにはお金儲けを悪とする風潮があると思うのだが、この番組を見て、私のお金に対する価値観が少し変化した。

 長年物々交換が続いた時代には、例えば羊とヤギを交換しようとしたとする。しかし、羊は実は病気であと一ヶ月も生きれない状態かもしれない。そんな状況であなたは自分の持つ健康なヤギを交換するだろうか?

 物々交換では客観的に「品質」を判断することは出来ない。また、羊と木材を交換したいと思っても、それぞれの価値観が異なりこれも交換するのは難しい。

 お金のそもそもの役割とは、「信頼」や「価値感」に対する「公平な評価基準」を作ることだったのだ。そういった「お金」が登場した背景を理解すると、「無料で奉仕する」という行為は確かに美しいのだが、自分の価値が「ゼロ」だと評価されたということでもあるのだ。

 「暴利を得たい」というわけでは無いが、「お金という報酬」を頂いたということは、それはあなたに対する信頼の現われでもあり、信頼に対する「対価」なのだ。その信頼に応えることが出来れば、その信頼はより大きな「対価」となって返ってくる。ここ最近になって、評価経済や信頼が大切だという言葉を耳にするが、そもそも「お金」とは信頼の対価なのである。信頼が無ければそもそもお金を産み出すことは出来ないのだ。

 「お金」を頂くということは、あなたが評価されたということであり、もっと胸をはって堂々と「頂戴すれば」良いのだろうか。そして、それを励みにして、もっと多くの信頼を獲得できるように、より良いものを提供すれば良いのでは無いだろうか。

■わかちあう喜び
 この番組を、素晴らしい物に仕上げたのはこの一説だろう。「人は分かち合い、公平性を感じた時、自分だけが裕福になった時と比較して、五倍の快感を得る」。

 お金という物が生まれ、それを独占しようとしやがて滅んだ国もある。しかし、助け合い、わかちあうことを私たち人間は本能として望み、だからこそ、厳しい環境の変化、時代の変化の波にもまれても、時に励まし、時に助け合い、種を存続させることが出来たのであろう。

 これから訪れる、人口爆発時代の深刻な食糧危機、資源不足に私たち人間が人間だからこそ出来る「わかちあい」を実践することが求められているのでは無いだろうか。
 



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。