IPv6報道にキャリア主導ネットワークの転換点を見た

先日も日系新聞が「次世代ネット「IPv6」移行 日本は乗り遅れるのか NTTの「鎖国体制」に課題」と報じ、本日もNHKが「ネット次世代規格 遅延対策へ」と報じていたが、最近NTTのNGN網が非難を浴びている。IPv6への対応が遅れていることによって、一部の通信に影響があるとされているからだ。

■問題の本質は何故当時IPv6を採用したかでは無いだろうか
現時点での対策が遅いことに対する指摘が多いが、IPv6の需要が無かった以上、事業者としては追加コストを投じて改修することは中々出来ないのは、仕方が無い側面はある。その点についてはボランティアでは無く、ビジネスなので利益の見込めない投資は行えないという経営判断は正しいと思う。

しかし、問題はそもそも2008年に商用サービスが開始したNGNGでその当時から「網内をIPv6化」しておく必要があったのだろうかという点では無いだろうか。NGNのフィールドトライアルが行われたのは2006年。ということは計画自体は更に数年前から開始されていた筈で、計画当初はIPv4アドレス枯渇問題はさほど問題にはなっていなかった筈だ。

当時の状況を私は知る立場では無いが、恐らくは、IPv4アドレスが枯渇するという課題に対する対処というよりは、次世代というイメージとIPv6による新規ビジネスを創造したいという思惑があったのでは無いだろうか。そして、シーズを満たせばニーズが生まれるという読みもあったのでは無いだろうか。

■時代の変わったことを改めて実感させる今回の問題
仮にNGNの計画が具体化したのが2003年前後だとすれば当時のキャリアは強い影響力を持っていた。シーズを提供することで周辺のプレイヤーが賛同しIPv6の利用が活性化すると考えていたとしてもおかしくは無い。しかし、時代はかわりスマートデバイス全盛の今となってはニーズを作り出すのは「コンテンツプロバイダー」と「スマートデバイス」となってしまった。

キャリア主導でシーズを提供したとしても、そこからニーズは生まれず、コンテンツプロバイダーや魅力的なデバイスが登場すればそこにニーズが生まれ、そのニーズに対応するためのネットワークを提供することが今のキャリアに求められているということだろう。

くしくも今、ネットワーク業界で話題のOpenflowやSDNの概念は、まさにコンテンツプロバイダーにとってあるべきネットワークの姿を実現する技術だ。この技術は将来的には大きな可能性を秘めているが現時点ではその実効性は未知数だ。しかし、自分たちの仕様に合わせて貰う時代は終わり、コンテンツプロバイダーの要求に柔軟に対応する、それが、これからのネットワークのあるべき姿なのでは無いだろうか。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。