出勤とは儀式なのか?意識の高い社畜の意見

良く勘違いされるのだが私は「サラリーマン」である。Blogosで「出勤は儀式という考え–「時間と場所からの開放」は可能か」という議論が立ち上がっていたので、「意識の高い社畜」として意見を述べておこうと思う。

だが、同じblogos仲間なのでブログに書くことにした。

まず、本題に入る前に言葉の定義を正しておきたい。

該当エントリーではオフィスワーカ以外の働き方を「ノマドワーカ」と表現しているようだが、ITの世界には正しい用語があるので紹介しておこう。

■オフィスワーカとテレワーカ
 ITの世界ではオフィスで働く「オフィスワーカ」、モバイル機器や自宅で働く人を総称して「テレワーカ」と表現する。このテレワークに自宅で仕事をするケースを「在宅勤務」、モバイル機器を利用して客先等で仕事をすることを「モバイルワーク」と表現する。

 自社の社員が自宅で勤務している人を「SOHO」と呼ばないように、社員が外出先で仕事をすることを「ノマド」とは言わない。SOHO用設備、ノマド用設備という表現は社員以外の雇用形態を指す意味が含まれる。なぜこういった言葉の定義が行われるかと言えば、それぞれの形態をサポートする技術が異なるからだ。ちなみに、一般企業が「SOHO」「ノマド」からのアクセスを許可する場合には両方とも「ゲスト」アカウントとして処理されで、社員とのアクセス権限が異なるのが一般的だ。

 そのため、「労働者の悲願がノマドワーカ」と言われれば、一億総フリーランスということになるので、そんなことを願っている人は極わずかだろう。

■出勤は儀式か?
次に、出勤は儀式か?という点だが、基本正社員なら有給があるので危険と判断すれば有給を使えばよいだけである。私自身今の会社に勤めて12年になるが命を懸けて通勤したという記憶は一度も無い。私自身、派遣社員時代もあったがその時も派遣ながら有給が何日かは支給されていた。その頃もやはり通勤は命がけで行うものだという意識は無かった。そのため、出勤は儀式と言われてもイマイチ、ピンとこない。

 むしろ、通勤は無くても「移動」は会社員にもフリーランスの方々にもあるので、移動という点においては会社員の方が有利では無いだろうか?

 正社員や派遣社員という会社となんらかの雇用形態を結んでいたなら、万が一通勤中に事故や病気で倒れるようなことがあっても労災がおりる。これも雇用されるものの強みではないだろうか。むしろフリーランスの方はそういった移動時の事故に対して何も保障が無いのではないだろうか。

■オフィスワーク以外の働き方の必要性
 言葉の定義、雇用形態による働き方に対する意見は述べた。最後に働く場所についての話をしよう。これについても「モバイルワーク」という働き方は、そういった働き方が必要だと経営者から判断されている社員に対しては大半の企業で「モバイルワーク」の環境が提供されている。経営者から見てモバイルワークが必要無いと判断されているセクションにはそういった環境が提供されていないだけである。

 「在宅勤務」については確かに積極的に導入している企業は少ない。しかし、それも「在宅勤務」を提供するメリットが無いから提供していないだけの話であって、提供する意思があれば技術的にはさほど難しくは無い話である。

 とはいえ、スマートデバイスの普及などもあって今後「テレワーク」が普及する可能性はある。しかし、それは出勤したくない社員の願いを叶えるために導入されるものでは無いとだけ言っておこう。

■働き方、働く場所より重要なことは「成果」をだすこと
 「ノマド」という言葉についてまわる「ワークスタイル」。最近この手の対談や講演を依頼されることは多い。「ノマド」的な方々と対極の位置で考えられることが多いため、「意識の高い社畜(笑)」と自らを紹介するようにしている。

 そこでいつも思うのは、今回の話にも通じることなのだが「働く場所」なんて「どうでもよい」んじゃないだろうかということだ。それこそオフィスだろうが、外出先だろうが、自宅だろうが、働く場所にこだわりなんて無い。私の会社は成果主義なので極端な話、成果さえあげていればどこで何をしていようが良い年した大人なので会社から何を言われることもない。

 私のような「意識の高い社畜(笑)」にとって大切なことは会社にコミットした「成果を出す」ことであって、働く場所は、その成果を出すための手段でしかない。二時間かけて通勤したことをほめられることも無ければ、災害時に徒歩で出勤してほめられることも無い。「頑張ったアピール」なんて一切評価されないので、通勤が危険と判断すれば自宅で仕事をすることも「意識の高い社畜」には当たり前のことである。

 「成果」を出すことに情熱を燃やすのが「意識の高い社畜」なら、「ワークスタイル」と「セルフブランディング」に情熱を燃やすのがノマド。大変失礼な話で、そう感じているのは私だけなのかもしれないが、優秀なノマドの人も「成果」が大切で有り、ワークスタイルにこだわりを持つようなことはしないのでは無いだろうか。

 もし、今、正社員で「ノマドワーカ」に憧れるなら、自分のやりたいように仕事をこなせる「社内ノマド」を目指してみることをお勧めする。社内ノマドとして十分な成果を出すことが出来、社外からも認められるような人材になれば、「ノマドワーカ」として独立しても高い報酬を得ることが出来るようになるだろう。



この記事のタグ:


関連する記事


プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。