有料メルマガ開始から半年経ってわかったこと

7月になり、気がつけば2012年も半分を折り返した。ふと、今年一年を思い返してみると、丁度1月に開始した有料メルマガも半年を経過していた。今年は有料メルマガ元年とも言えるほど、ネットの著名人が有料メルマガを発行しているため、このマイクロメディアに興味を持っているかたも多いと思うので、私の所感を述べてみたい。

■読者の顔が見えるメディア
これは発行者の知名度や発行母体にもよると思うが、私のように個人運営の有料メルマガの場合、大半の読者は知人であることが多い。申し込み時点で「あっ、あの人か」と読者の顔が浮かぶ。この人はこういう職業だから、こういう情報を望んでいるだろう、この人にはこれだな、、、と、読者の必要としそうな情報を想像しながらコンテンツを作り上げていく。

これは、不特定多数に見られることを前提とした他媒体とは全く異なる感覚だ。

■収益性は高い
次に、一番興味深い収益についてだが、私の有料メルマガ会員は現在68名が購読中で、今までに解約した人は6名となっている。決済方法はPaypalのみとなっているので、購読料の大半が利益となるため収益性は高い。商業媒体への連載と比較しても決して悪くない収益性となっている。

では、「儲かるから有料メルマガやろうよ!」と言った心境かと言うと、そうではない。単純に収益性だけでは図れないものが見えてきた。有料メルマガには多くの人の目に触れるメリットと、触れないデメリットが存在する。

■居心地の良さに甘えてしまう
まずは、多くの人の目に触れないメリットを紹介しよう。

有料メルマガは書き手にとって最高に心地よい場所だ。例え、ブログやTwitterといったOwnedメディアであったとしても、一度ウェブに公開してしまえば、その文章を好意的に見てくれる人も居れば、批判的に見る人も居る、まれに炎上する危険性もある。しかし、有料メルマガは基本的に読者は味方であることが多い。だから好きなことを書ける。好きなことを書いても叩かれることはまず無い。

また、既に収益が確保されているため「マーケティング」的な発想で文章を考える必要が無い。例えば書籍を書こうと思えば、自分の書きたい内容と異なっていたとしても「売れ筋」な内容を書くことが求められる。「売れ筋」ではなく自分の本音を率直に書くことが出来る。

批判されることもなく、本音が語れてお金も貰える、まさに書き手にとっては天国のような環境だ。

■大きな仕事をてがけられなくなる
次に、多くの人の目に触れないデメリットを述べる。

書き手にもよると思うが、メルマガ一通を書くために私の場合は休日の一日が潰れる。そのため、本来なら書籍の執筆を行いたいと思っているが、メルマガを書く時間に休日が消えるため書籍まで手が回らない。著述家としては書籍を書くことは収益性は低い部類に入るが、書籍を書いた実績は高く評価されるためその後の講演や、他媒体への寄稿といった成長へのパスとなることが多い。

100人にも満たないクローズドな環境では、メルマガを書くことに労力を費やせば費やすほど、チャンスロスも発生する。

■知名度の換金の最終手段
自分の知名度がこれ以上伸び代が無いと考えるなら、収益性が高いので推奨出来る。しかし、伸び代がもっとある、伸ばしたいと思うなら、もっとオープンな場で活躍した方が良い。

好意的な読者に囲まれ好きなことを書くのは快感だ。しかし、それは成長過程にある書き手にとっては成長を止めてしまうことにも繋がる。自分の成長にまだ伸び代があると感じる著述家は、もっとオープンな場で反論にも耳を傾けつつ、成長する道を選んだ方が得策だろう。

ブログは批判も浴びるし、無償の活動になるがソーシャルが普及した現代では数万人の目に触れることも珍しくはなくなった。地道に良い記事を書き、メディアに注目され、寄稿や出版、講演などを地道に繰り返した方が、より大きなリターンを得る機会を作ることが出来るだろう。

知名度の伸び代に関する、私の目安だが、現在の日本では、知名度の頂点と判断する目安は、ソーシャルメディアを中心としたマイクロセレブか、マスメディアにも登場するセレブなのかによって限界点が異なると考えている。

TwitterやFacebookのフォロワー 1万以下 伸び代有り
TwitterやFacebookのフォロワー 2万~3万人 マイクロセレブ(ソーシャルメディアを中心に活躍)
TwitterやFacebookのフォロワー 10万人以上 セレブ(マスメディアを中心に活躍)

私もそうだが、伸び代有りの人は、もっと上を目指すことが得策では無いかと思う。

■それでも、これから続ける人へ
それでも、これから有料メルマガを始めたいと思う人もいるだろう。そんな人へたった一つだけアドバイスがある。「課金は月単位のみ」にすること、だ。

私は読者に対してお買い得感を感じて貰うために、月会費は500円で、年会費は5000円という年契約は二ヵ月分お得というプランを用意した。案の定、このプランを選択する人が多かったため、「最低一年間」は続けないといけなくなった。今にして思えばこれは失敗だったと感じている。

有料とは言え、いつでも辞めれる状態と、一定期間は辞めれない状態では、プレッシャーは大きく異なる。私のメルマガは毎週発行しているが、毎週対価を頂く文章を書くというのはかなりの労力を必要とするのも事実だ。

有料メルマガは自分にとってライクワークなのか、ライスワークなのか。ライクで始めたものがライスになったとき、途端に義務となり、それは文章に如実にあらわれる。もっとも自分を一番良く理解してくれているファンに「つまらない文章」を披露することは、ファンを失望させることになってしまうのだから。

ライクがライスに変わり、続けられないと思った時には、ファンを失望させないためにも、途中で潔く中止する判断も必要だ。そうするためにも、課金は月単位をお勧めする。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。