米NY州 「ネットいじめ防止法」成立。深刻化するハイテク・イジメ。

2013年7月1日から、NY州では「メール、テキストメッセージ、SNS」等のインターネットを活用するコミュニケーションツール上で、「いじめ」を教職員が発見した場合には、一日以内に学校管理者に報告しなければならない。

ロイターが報道した「NY州で「ネットいじめ防止法」成立、教師に報告を義務化」が話題を呼んでいる。

 既にコミュニケーションインフラとしてFacebookが定着している米国では、アカウントは持っていて当たり前、メールアドレスより、Facebookメッセージの方が学生の間では当たり前のツールとして浸透しているという。当然SNSでは人間関係が可視化され、そこには当然「好き、嫌い」が発生する。次第と派閥が出来上がるのは、人間の本能なのだろう。個性が尊重される米国と言えども派閥が生まれれば「いじめ」も生まれるようだ。

■オンラインでのイジメは一生記録が残る
 オンラインによるイジメと、オフラインによるイジメの大きな違いは、イジメも可視化可能であるという点だろう(勿論見えないイジメも存在するだろうが)。オフライン上のイジメは発見したくても発見出来ない場合があるが、オンライン上のイジメは第三者の目にも認知することが可能だ。

 最近、国内も含めて問題視される例として、スマートフォンが普及したことにより、誰でもカメラやビデオを撮影しネットに掲載することが手軽になった。これによって、イジメの対象者を全裸にして動画サイトに投稿したり、それを仲間内でシェアするといったイジメのハイテク化が問題視されるようになっている。

 こういったハイテク・イジメは第三者にもイジメの映像が広まり被害者の心身を傷つけると共に、「永遠に」ネット上にその記録が残ることとなる。5年後、10年後、社会に出たあとにも、そういった映像や記録が付きまとう。人々の「記憶」は風化するが、「記録」はいつまでも残ることになる。

■「忘れられる権利」の検討も
 将来のハイテク・イジメの増加を抑止するために、こういった法案は良い前例となるだろう。そして、ネット上での「イジメ」から被害者を守るためには、「忘れられる権利」も合わせて併設することが不可欠となるだろう。

 「忘れられる権利」とはヨーロッパで提唱されている個人のデータをFacebookやGoogle等に「削除」を申請する権利だ。前述したように今や人の一生分のデータをクラウドに記録することはたやすい。しかし、私たちは、それを「消す術」をもっていない。自分自身が投稿したデータは削除することが可能だが、Googleのキャッシュを消す手段はGoogleにしかない。Facebookで友達がシェアした画像はあなたの一存で消してもらうことは可能だろうか?

 可視化され、記録されるハイテク・イジメは、第三者の目にもその記録は一生残る。その辛い思い出を「忘れる権利」は、当然守られるべきだろう。



この記事のタグ:


関連する記事

  • 体罰と耐罰

  • URLフィルターでは十分な対策となり得ないネットいじめの実態

  • ある一人の少女の死に学ぶ、ネットイジメの実態。逃げ場を失う子供達。


  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。