ソニー、カーナビ事業撤退に見えてくる、Hyper Giant vs 家電メーカ

 ソニー、カーナビ事業撤退 スマホ台頭…「ナブ・ユー」出荷を年内に終了というニュースが話題になっている。しかし、現実にはカーナビという文化はスマートフォンの台頭と共に、既に海外ではスマートフォンやタブレットを利用するのが当たり前で、日本だけの狭い市場になっていた。

 スマートデバイスは単なるアプリを実行する「おもちゃ」ではなく、あらゆる既存のビジネスを再定義しようとしている。、、、が、そんなことは誰しもが気づいてることで、今更どうこう言うことは無い。カーナビだけでなく、世界市場を見れば既存の製品がスマートデバイスに置き換えられているジャンルは他にもまだまだ存在する。今後もそういった「時代の波」に乗ることが出来なかった、あるいは時代の波に乗り換えるために行われる「撤退報道」は増加していくことになるだろう。

 そして、ITの世界では「スマートデバイスの次のステージ」が見え隠れするようになってきた。次なる変化の先にあるものは国内家電メーカの「家電業界撤退」の見出しかもしれない。

■クラウドの重要性にようやく気づいた家電メーカ
 Hyper Giantとも、Gang of Fourとも言われるインターネットの四大巨人、AppleのiCloudや、Amazonの何でも買えるECショップ、Facebookの世界の人々と繋がることが可能なプラットフォーム、Googleの様々なクラウドサービス、彼らの共通の強みは「クラウドベース」。距離も国籍も関係なくインターネットに繋がる市場が全て自分たちの商圏になり、流通コストは殆ど無料になるという利点を生かし、まずはインターネット上でビットで提供可能なサービスに彼らは切り込んだ。音楽、電子書籍、ライフログ、ウェブ上のあらゆるデータが彼らの「武器」であった。

 彼らの提供する「製品」は彼らの得意とするクラウド上のデジタルデータにアクセスすることで、より「魅力」が増す。増加するデバイスを同期するというクラウドならではのサービスの提供も、消費者にとっては「付加価値」に写った。

 そんな「クラウド」の存在が、製品購買に影響を与えていると「ようやく」日本のメーカも気づいてきた。スマートテレビを軸にクラウドサービスにより新たな付加価値提供を目指している。既にインターネットテレビと呼ばれていた時代からパナソニックのビエラ等では独自のコンテンツの購入などを行うことが出来ていた。これらがスマートテレビに移行することで、テレビメーカの思惑としては単なるテレビのブラウン管から、クラウドにアクセスするためのデバイスへと製品価値の変換を目指している。

■近距離無線によりクラウドを介さない連携が次なる価値に
 ビットを武器に戦うHyper Giantはハードを売り物にする「家電業界」とは異なるもの、むしろ両者は相互補完関係にあり、ぶつかり合う存在では無い。誰もがそんなふうに考えていた。
 しかし、ようやく「クラウド」の世界へと足を踏み入れようとしている国内家電メーカを尻目に、Hyper Giantの次なる標的は「家電メーカ」の市場となるだろう。既にGoogleはGoogle AppleはApple TVを発表している。AmazonもKindleでハードビジネスを展開している。

 特にAndroidを持つGoogle、iOSを持つAppleは彼らのスマートデバイスを「頭脳」として、周辺に「手足」となる素材の展開に注力するようになるだろう。今年に入り、GoogleがGoogleメガネこと、Project Grassを発表したことで、海の向こうでは「ウェアラブル・コンピューティング」が急速に注目を集めている。
 参照「見えてきた「スマートデバイスの次なる戦略」ウェアラブル・コンピューティング

このスマートフォンを「頭脳」としたウェアラブル・コンピューティングが置き換えていくものは、参照先の機器にあるようにまずは、時計やデジタルカメラ、といった身近にある「身につけることが可能な電子機器」がハイテク化されていく。そして、その身にまとった機器と「連携」することで可能な「家電」が今後は選択されるようにななるだろう。

 スマートデバイスが世界的にも当たり前となる2015年位には、通信を行うことはが可能なあらゆるデバイスは「スマートデバイスと連携」することが当たり前となり、家の中に存在する「家電」も当然、その連携の一要素になるだろう。

■Hyper Giantの次なる標的
 自分たちの製品をクラウドに繋げる方向性へと一歩を踏み出した家電メーカ。彼らの顧客がその価値を気づいた頃には、時代は既にクラウドの世界を飛び出した「現実世界での近距離無線」による連携が、新たな価値を創造する時代が訪れようとしいる。

 製品固有の魅力から、クラウドへの接続が魅力となり、次は近距離無線によりクラウドを介さない連携への道しるべが見えてきた。その次なるステージへの変化を気づいた時に、家電メーカを待ち受けているものは「家電業界撤退」かもしれない。 



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。