iPhone5に沸くソフトバンクとAu。それを傍観する「ドコモダケ」

iPhone5が発売され、TwitterやFacebookでも「iPhone5」購入報告が続いている。残念ながら筆者は購入していないが、LTEの通信速度向上もありレスポンスが大幅に改善されているようで、非常に満足度は高いようだ。

しかし、このお祭り騒ぎに便乗していない会社がある。国内シェアトップの「ドコモ」だ。主力製品に韓国SamsungのGalaxyを10月には中国Huaweiの低価格モデルを投入する。現在の緊迫する日中韓の政情と、相次いで報道される中国の日本製品不買運動を鑑みれば消費者の心象は決して良くないだろう。

実際、今回のiPhone5発売で、ソフトバンクは既存顧客の乗り換え需要、Auは他社からの乗り換え需要を獲得しているようだが、この他社からの乗り換えは「ドコモ」から乗り換えてくるユーザが少なくないようだ。

この状態に対して、ドコモ幹部は「サービスをすべて管理するアップルの“代理店”にはならない。iPhone人気がいつまでも続くわけではない」と答えているようだが、既にiPhone人気は初代が発売された2007から五年間、年を追うごとにファンを拡大し続け、新機種が発売される度に世の中がこれ程熱狂する製品は、他に見えてこない。

■競争をしないのは「ドコモダケ」
ドコモの経営判断の誤りは、iPhoneだけではない。WiFi-APでも他社と比べて大きく水を開けられている。回線品質でキャリアが選択される時代がスマートフォンの登場と共に崩壊し、WiFiによるデータオフロードによる回線保護と、WiFiによる付加価値の向上による戦いが水面下で行われていたがそこにも参加せず、今まで売りだった回線品質も、障害の多発で顧客の流失を許してしまった。

今や、魅力的な端末もなく、利用料金は最も高く、回線障害も多発。他社と競争しない「ドコモダケ」状態が続いている。

今ドコモの売りは何かと言われれば細かいデータを提示されれば回線品質は良いのだがそれは消費者には見えてこない。誰の目にみても明らかな優位点は「国内シェアトップ」というバリューのみなのではないか。それもスマートフォンの比率ではいつまで維持出来るか疑わしい。

■経営判断の誤りは問題ではなく、間違いを修正すること
今回のiPhone5発売で印象深かったことの一つに「ソフトバンクのテザリング」対応があげられる。モバイルWiFiルータが人気を集めた2010年頃からテザリングを求める声が高まり、国内キャリアはテザリングを禁止していたこともあって、今回のAuのテザリング対応と共に大きな話題を呼んだ。

しかし、実際には2010年当時と異なり、ユーザが長時間滞在する場所にはWiFiが提供されていることも多く、自宅や会社、喫茶店やイベント会場
等ではWiFi端末でも困らない場面が増えていた。それでは不服なユーザは既にモバイルWiFiルータを保有している。

こういった状況にあって、実際にテザリングを必要とするユーザがどれ程居るのかということと、回線負荷を考慮してソフトバンクはテザリングの採用を見送っていた。しかし、端末の発売と同時に予約するようなユーザはヘビーユーザが多いのかテザリング目的でAuを購入するユーザが多発、Twitter上でもソフトバンクのテザリングを求める声が増加。

こういった動きにソフトバンクの孫社長は即座にテザリング対応を表明した。テザリングという言葉自体を知っているのは1億2千万人の日本人からすれば極わずかでその機能を必要とするような二台持ちをしているユーザの数は限られている。当初テザリングに対応しなかった判断は誤りとも思えないが、市場の声に耳を傾け「自分たちの判断は誤り」であったことを認め、即座に対策を発表した、孫さんの経営判断は素晴らしいと思う。

この数年間の間にドコモは幾つの判断ミスを行い、修正を行ってきたのか。修正を行わず「やせ我慢」だけでは、そろそろユーザの「やせ我慢」も限界に達しているだろう。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。