ドコモのソーシャルゲーム参入、株式市場はこう見た

 2012年9月27日、日経新聞はNTTドコモがソーシャルゲーム事業を開始する計画であると報じた。バンダイナムコゲームス等十数社からのゲーム提供を受け、11月下旬をメドに配信を開始する。

 国内のソーシャルゲームを牽引するGree、DeNAのプラットフォームを利用する場合には、バンダイナムコゲームス等のゲーム開発会社は、ロイヤルティ+課金手数料として、現状約40%程支払う必要があった。NTTドコモが提供するソーシャルゲームプラットフォームではこのプラットフォーム利用料が、おおよそ半減する見込みになると報じている。

 ゲーム開発会社にはドコモの6000万人の顧客基盤にゲームを提供する事が可能で、プラットフォーム利用料が半減するというメリットが発生する。

■株式市場の反応はDeNA、Greeは急落。ドコモは微増に留まる
この報道を受け、2012年9月27日の株式市場ではDeNA、Greeが大幅に下落、ドコモは前日比0.3%増という結果になった。

ソーシャルゲームプラットフォームを事業の核とする二社にとっては、顧客の流出、競争によるロイヤルティ料の値下げによる収益悪化などが予想され株価を大きく引き下げる要因となった。

ドコモの株価は27日は0.3%の微増だったが、28日の現時点では株価は下落しており昨日の上昇分が既に失われている。ドコモの9月3日の株価は133,200であり、iPhone5の発売等もあって下落基調が続いている。株式市場としては今回の報道がこの下落基調の流れを変える程のインパクトは無いと判断したのだろう。

■通信キャリアのブランドイメージとソーシャルゲーム
 今回の報道で筆者が気になったのは、キャリアが長年築き上げてきた「安心・安全」というイメージが損なわれないかという点だ。ソーシャルゲームは「コンプリートガチャ」の件が社会問題として取り上げられたが、今なお「子供が夢中になると多額の請求がくる」「夢中になり数百万円課金したが、熱が冷めると虚しさだけが残る」といった、儲けに走りすぎ道徳感が置き去りにされるイメージがある。

 ドコモが収益の柱としてソーシャルゲームに注力すれば、本来の顧客基盤である携帯事業に悪影響が及ぶ恐れがあるのではないかと感じた。そうならないように「安心して誰もが遊べるソーシャルゲーム」のプラットフォームをドコモが築くことを期待したい。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。