平均年収409万円。進む「三極化」

 先日国税庁から2011年分の民間給与実態統計調査が発表された。これによると、2011年12月31日現在の給与所得者数は、5427万人であり、このうち途中で会社を辞めることなく一年を通じて給与の支払いを受けた者は4566万人となった。この一年を通じて給与の支払いを受けた者の平均給与は前年から三万円減の409万円となった。

■進む三極化
 業種別平均給与を見るとある傾向が見えてきた。平均給与以下の業種では給与の下落率が高い。平均給与以上の業種は僅かではあるものの賃金が上昇している業種が多い。国民間の格差「二極化」が更に加速していることがくっきりと見てとれる。

 更に、平均給与上昇率トップ3を見てみると、ある側面が見えてきた。

 上昇率トップ3
 1位 複合サービス事業 4.9%
    内訳:郵便局、協同組合
 2位 電気・ガス・熱供給・水道業 2.4%
    内訳:電気業、ガス業、熱供給業、水道業
 3位 運輸業・郵便業 1.9%
    内訳:鉄道業、道路旅客運送業、道路貨物運送業、水運業、航空運輸業、倉庫業、運輸に附帯するサービス業、郵便業

 郵便事業、電力、ガス等のエネルギー事業、鉄道事業などの運輸業が並んでいる。これらに共通するものは、国から免許を受けて運営する「認可業務」であり、新規事業の参入が難しい、言わば「既得権益」に守られた業種である。すなわち、激しい格差競争に巻き込まれていない競争が少なく一定の利益を確保出来る認可業務と、規制に守られない民間企業の格差社会という三層構造になっているということである。「既得権益」業界の一人勝ちが鮮明になってきた。

 認可業務は基本的にはインフラ業務であり、それ自体は必要な業務ではある。インフラ業務の中でも運輸業等は激しい競争にさらされている業種も存在する。しかし、一部の電力等のエネルギー業務に関しては、度重なる値上げで国民の負担が増加しているが、その国民の給与は年々低下する一方だ。「自由化」によって競争を促進し、エネルギー提供価格が下がれば、国民の生活も楽になる。

 電気代値上げの議論もあるが、業種別給与実態を見ても既得権益に守られた業界の優位性ははっきりとしてきている。こういった実態を正しく考慮した議論が成されるべきであろう。

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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。