急増するSNSを利用した犯罪。悪徳勧誘を見抜くコツ

 産経新聞の報じた「SNSで接近、不当契約急増 「友達になろう」食事し勧誘 前年度の2倍ペース」という記事が話題だ。

 この記事によれば、東京都生活文化局に寄せられた相談件数が、昨年度の約50だったのに対し、今年は4~6月の3ヵ月だけで既に30件寄せられおり、急増していることが伺える。相談者の約9割りが10代~20代だという。

 都によって業務停止命令を受けた物は下記の二件。
 ・競馬投資ソフトのケースでは平均約77万円
 ・オイルマッサージでは平均約102万円
友人を装い、断りづらくすることで、契約に結びつけるという。

最近の傾向として就職難につけ込み「就活(就職活動)によい」「いいネットビジネスがある」などと持ちかけ、自己啓発の講座などを契約させる事例もあるという。

■私が体験したSNSの奇妙な体験
 私自身も2010年からTwitterやFacebookを始め、ここ三年近くは年間1000人単位で名刺交換を行う機会に恵まれた。多くの出会いは素晴らしいものであったが、中には「ファン」ですと言いながら、営業の勧誘を行ってくる人や、マルチ商法の勧誘を行ってくる人が居た。

 下記は実際にこの約三年間で私がソーシャルメディアで勧誘を受けたものだ。

 ◆勧誘系
 ・投資用マンションの勧誘
  Facebookで仲の良い有人と同じ会社の人から「友達申請」があった。当時は警戒感もそれほど無かったため、承認すると、Facebookメッセージで投資用マンションの勧誘が数回続いた。

 ・化粧品/エステ紹介業の勧誘
  mixiのイベントで知り合った女性から一緒に飲まないかと誘われ二、三回飲むようになると、化粧品とエステイベントの勧誘を受けた。

 ・ペニーオークションの勧誘
  ”はじめまして、突然のメールごめんなさい。”という一文から始まり、ペニーオークションについて良くわからないから教えて欲しいという女性から、ペニーオークションの素晴らしさを語りつつ、真意を確かめるために該当サイトを利用してみて欲しいというメッセージが届いた。

 ・投資詐欺
  Facebookで外人から時折、”プロフィールを拝見し、日本でビジネスを始めようと思っているがあなたのプロフィールを見たところ、私が始めようとしている事業にはあなたの力が必要だ、是非会いたい”といった類のメッセージが数件届いた。相手のプロフィールを見ても何ら接点が無いし、外国では手当たり次第に鴨を探しているようだ。

 ・ヘッドハンターからの誘い
  一見自慢のように聞こえるかもしれないが、実は違う。優秀な人に直接コンタクトというよりは、特定の企業に所属している人間のプロフィールを調べて、友達を探る、あるいは同じ会社の人間に対してさみだれ式にコンタクトを取っていく。特に実名SNSの普及により名前と企業ドメインを組み合わせることで会社宛にメールを送付出来る企業も多いため、LinkedinやFacebookはヘッドハンターにとってまず利用するのが当たり前のツールになっている。

 ◆勧誘では無いが、奇妙なメッセージも多数届く。
 ・教授探し
  これもFacebookで外人からなのだが、これは騙そうとしていたのかは真意は不明だが、ある外国の教授と名乗る人物からメッセージが届いた。その人物曰く自分の生徒がMEXT 奨学金を受けるための条件として日本の「先生」を見つけなければならないので協力して欲しいという内容だった。
  これについては、悪意があったのか真実だったのかはわからないが、こういう事例もあった。

 ・人探し
  ”御社に在籍している友人で○○さんを探しております”という、人探し系。公式な用件なら本人に直接あるいは、会社の総務部なりにでも連絡するのが普通であり、仮にそこで教えて貰えなかったとして、赤の他人の人間にこんな相談をしてくる時はたいてい、個人情報の悪用だろう。

■出会い系サービスの増加による被害も現れだしている
 最近は肉会やソーシャルランチといった「手軽な出会い」を演出するサービスが人気を集めている。 私も一時肉会を利用していたが、毎日女性が紹介され肉会成立の回数も多く、日程調整にうんざりする毎日ですぐに利用は止めてしまった。

 毎日無料で手軽に会えるということで出会いが希薄化しているのか、こういったサービスで出会った女性に対して猥褻な画像を送りつけたり、ストーカ行為されて悩んでいるという相談を受けることが増えた。

 女性には「出会い系」では無いというゲーム感覚から来る安心感が警戒感を解きサービスを利用する。利用する男性側は「所詮嫌われても、またすぐに紹介して貰える」という考えや、FacebookやTwitterで繋がらなければ他の友人にばれることも無いという意識が働いているのでは無いだろうか。

 道具は所詮道具にすぎず、そのサービスが悪いというわけではなく、それをどう使うかが悪いわけだが、数年内にこの手の「手軽な出会い系」を起点とした性犯罪が起こるのではないかと、予想している。

■怪しい勧誘かを見分けるために
 SNSによる勧誘は一見すると困っている人を装う、あるいは人の善意を利用しようとするため、騙そうとしているのか本当に助けが必要なのか、良い話なのかを見分けることが難しい。
 私なりの怪しい勧誘なのか、本当に困って何かを相談しようとしているのか判断方法を紹介しよう。

 ・自分との繋がりの確認。
  1) Facebookの友達に自分の友達が含まれているか
  2) 自分のフィードを購読しているか

  自分にどうやって辿り着いたかを確認する。友達の繋がりなのか、フィードを購読している読者なのか。何も接点が無い場合は手当たり次第に「鴨」を探しているだけにすぎない。

 ・言語
  幸いなことに日本は島国であるため、日本語で守られている。何の接点も無い外国人から英語やその他の言葉で、何かメッセージが来たときは大半がスパムと判断して良いだろう。

 ・生活感の確認
  1) 日常的なポストはあるか
  2) 投稿に「いいね」や「コメント」がどの程度あるか
  
  投稿が全く無い、「いいね」も「コメント」も全く無いのなら、スパムアカウントか捨てアカウントの可能性が高い。セキュリティの観点から一切公開していないと言う意見もあるかもしれないが、それならこちらも信用することは出来ないということで縁が無かったと判断すれば良いだけである。

 
■友達承認は慎重に、あなたの信頼が悪徳勧誘の手助けをしていることも
 SNSを使った勧誘の特徴に「○○さんの友達で」などと近寄って来るケースがある。その友人との人間関係を考えてしまい断りづらくする状況を作るのだ。

 Facebook等で手軽に友達承認をしていると、あなたの知らない所で、あなたの信用がそういった勧誘の手助けをしてしまっているかもしれない。

 近い将来、電話ではなくSNSを利用したオレオレ詐欺が登場するのでは無いかと考えている。「息子さんと同じ会社の○○です」などと見ず知らずの人物が両親に近づくようなことを警戒しないといけない時代はそう遠く無いかもしれない。

 Twitterが空前のブームとなり、人との出会いに興奮した2010年。ソーシャルメディアは単なるツールであり、それを使う人達によって使われ方は大きく変わる。すべてが性善説で語られた時代は終わり、犯罪に利用する人も居るということを、正しく認識すべきだろう。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。