Facebookにトロイの木馬を仕掛けた、ヤフージャパン

 もうご存知の方も多いと思うが、Yahoo!Japanのリアルタイム検索にFacebookが対象サービスとして追加されている。これでTwitterとFacebookで呟かれているキーワードの検索を行える。

 Facebookが提供している検索は、友人やFacebookページを探すように特化されており、ユーザ投稿の本文は対象となっていなかった。しかし、今回ヤフーが提供するリアルタイム検索ではユーザ投稿本文が検索対象となっている。そのため、今まで検索出来なかった物が出来るようになったのだから、非常に便利であることに違いない。
 ※検索対象は公開設定になっている投稿が対象となっている。

■SNSに検索エンジンは不要
 一部では、Facebookが広告収入の伸び悩みに対して、Bingを買収し検索対応型広告を初めるかもしれないと噂されているが、正直な所、本文サーチは収益向上には貢献するかもしれないが、ユーザ離れの原因を作ることになると筆者は考えている。

 そもそも、Facebookの検索エンジンが使い物にならないのは、私は「わざと」だと思っていた。オープンなインターネットを唱えるFacebookだが検索エンジンが使いずらいことで、「安心して」身内向けの投稿をすることが出来たのだ。勿論厳密に言えば友達だけの空間であっても何らかの原因でインターネットに公開されてしまうこともあるかもしれないが、Twitterやブログで書くよりも、他者からは検索されにくいという安心感があった。

 フィード購読機能が出来てから友達以外の人であっても投稿が見えるようになったが、それでもGoogle等から投稿本文に対して検索がかからないため、比較的ソーシャルグラフの延長上の人にしか見られない安心感があった。だから、例え公開設定になっていたとしても普段ブログや商業媒体で見せることのない、私的な面も見せることが出来ていた。

 それが投稿本文にまで検索対象となってしまうと、いつ何時過去の何気ない投稿をひっぱりだされるかもしれず、むしろ窮屈になってしまうのだ。友人同士のクローズドな空間と、検索による利便性の向上した空間。両者の提供するユーザ体験は大きく異なるものだと思う。

■何れFacebookフィードから炎上事例が登場するだろう
 Twitterは流石にオープンな空間という認識が広がっているようで、飲酒運転や窃盗などで炎上するケースを見かけることは少なくなった。しかし、まだFacebookで自分の投稿が検索対象になっていることに気づいているユーザは少ないのでは無いだろうか。
 試しに「飲酒運転」と検索してみたところ、幾つかそれらしいものが現れた。

 Twitterがそうだったように、今回のリアルタイム検索を利用した、Facebookが発信源の炎上事例となるものが何れ登場するだろう。

 身内だけという安心感から家族や友人達とのプライベートな写真も投稿できるFacebook。その安心感はSNSにとてコアコンピタンスでは無いかと筆者は思う。今回の検索エンジン対応によって、その良さを失われないことを祈りたい。もし、失われてしまったら、、、それは今回だけの失策として終わるのか、それとも株式公開後の株価低迷によるプレッシャーから来る迷走なのか。

 もし、Facebookの炎上騒動が始まったとき、ポータルサイトの巨人ヤフーは何を思うのだろうか。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。