Oracle Days Tokyo 2012レポート:ビッグデータ・ビジネスを加速させるオラクル

 10月30日、31日とウェスティンホテル東京でOracle Days Tokyo 2012が開催されている。
 プレスとして招待されたので、内容の一部を紹介したい。

■オラクルについて
 本ブログではオラクル社について馴染みの無い方も多いかもしれないので、簡単に紹介しておこう。データベースソフトのリーディングカンパニーとしてIT業界の時価総額ランキングでは五位に位置する米国企業。エンタープライズ向けITソリューションを専業とするITベンダーとしてはIBMに次ぐ規模を誇る。
 年間R&D費用は約60億ドルに達しており、DeNAやGreeの売上高よりも大きく超える、データベース業界のみならずインターネットの裏側を支える巨人だ。

■決済市場大手ペイパルを支えるExadata
 ペイパルは世界190の国と地域でサービスを提供し、1億1千7百万のアクティブアカウントを保有する、1998年創業のオンライン決済のグローバルリーディング企業だ。
 同社の強みはクラウドをベースとした決済処理。その顧客はグローバル企業から個人のメルマガといったマイクロペイメントまで多種多様な決済に対応する。世界中から寄せられるオンライントランザクション処理は1秒間に180万SQLに達すると言う。銀行の勘定系システムでも1万SQL/秒というから、ペイパルのトランザクション数は群を抜いている。

 この超大規模トランザクションを支えているのが、オラクルのExadataだ。※関連記事:モバイルペイメントは離陸するか?国内市場の現状を先行企業に聞く

■現在のコンピュータアーキテクチャの現状を打破するオラクルのアーキテクチャ
 コンピュータアーキテクチャを語るにあたって、欠かせないのが、CPU、Network、ストレージの三要素だ。どこか一つの部位だけが早くても、考える所(CPU)、データを取り出す所(ストレージ)、問い合わせる所(Network)、全てが対等な性能を持っていなければ、どこかが足をひっぱることになる。

 しかし、現実的にはCPUはムーアの法則にのっとり年々高速になっていくが、ネットワークとストレージはCPU速度向上には繋がっていない。2003年と比較してCPUは32倍高速になったが、ストレージは1.X倍程度、ようは殆ど速度が向上していないのだ。

 行き過ぎたコモディティ化した製品を幾ら組み合わせてもトータルのパフォーマンスは期待出来ない。ソフトウェアベンダーだったオラクルが、Sunやネットワークベンダーを相次いで買収していた狙いはここにあった。

 オラクルExadataが実現するDatabase In-Memoryはストレージを排除したInMemoryアーキテクチャを採用し、徹底的にパフォーマンスを追及し、ボトルネックとなる部分を限界まで排除した。EMCのVMAXでは52GB/秒の帯域幅を誇るが、Exadataは1Rackあたり100GB/秒、最大8Rack、800GB/Secの処理を可能にする。
 
 機器間を接続するネットワーク帯域幅の拡張にはInfinibandを採用する。これによって40GB/Secの帯域を確保した。

 CPU、ソフトウェア、ネットワーク、記憶媒体、これらを統合的に改善することで従来10かかっていた処理を80%、時間を短縮することが可能になるという。

 【導入前】 

 【導入後】 
 

 既に国内でもExadataの高速処理を評価し導入した企業事例も続々と誕生している。

■リアルタイム処理によって、犯罪を予防するシカゴ警察
 最後に今回のセッションで紹介された、Exadataのリアルタイム処理能力を活かした興味深い事例を紹介しよう。

2012年5月20日、NATOサミットがシカゴで開催された。当時の議題に、アフガニスタンからのNATO軍撤退が協議され、約50ヶ国、7000人の要人が参加した。

これに対して、大規模な反戦デモが計画され、シカゴ市民の安全を脅かすことが懸念された。約1万人のデモ隊と、数千人の警察官との間で緊迫した日々が続いた。

この時、シカゴ警察はデモ隊の感情や、市民の不安の感情の高ぶりなどをソーシャルメディア等から抽出し、可視化するシステムを構築した。このシステムによって、暴動が起きそうな地域を予測し、予め警官を手配するといった対策をうつことで、逮捕者を数人に抑えることに成功したという。

今回紹介した事例以外にも、Oracle Days Tokyo 2012では様々な事例や、今回紹介しきれなかったオラクルの最新ソリューションも多数紹介されている。ビッグデータビジネスに興味を持たれている方は、足を運んでみてはいかがだろうか。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。