Kindle テストマーケティングの勧め

 当サイトへの検索エンジンからの流入を見ていると、Kindle Paperwhite関連では、「自炊」「青空文庫」といったキーワードで辿りつく人が多い。変わった所で「Kindle Paperwhite 解像度」というのがあった。

 自炊するために最適な解像度を調べるというニーズなのだと思い、私も解像度を調べてみた。すると、日本語圏のサイトを見ると「Kindle Paperwhiteの解像度は758×1024だが、有効解像度は658×905」であることが分かったのだが、先行する米国サイトでは殆ど解像度に関する記事を見つけることが出来なかった。「Kindle 658 905」と英語圏で検索しても、開発者向けサイトで話題に挙がっていた程度で、日本のように自炊方法を解説しているページを見つけることは殆ど無かった。

米国では商業誌を読み、日本では自炊文化が発達

 Kindle Storeの書点量からして既に150万点ある米国と、10万点にも満たない日本で比べるのも酷な話だが、重要な点は米国レベルになれば電子書籍リーダで本を買うという文化が根付いているということでは無いかと思う。

 音楽業界がネット通販を拒むうちに、インターネットのファイル交換による違法ダウンロードが蔓延し、その後Youtube等の動画配信サイトの登場で音楽を買うという意識が希薄化してしまった。

 米国では「商売」として成り立っている電子書籍市場だが、日本の電子書籍市場はこのまま自炊文化が浸透すれば、音楽業界が歩んだ道と同じ道のりを歩むのでは無いかと危惧してしまう。

日本でもKindle Paperwhiteで商業誌を読みたいというニーズは高い

 当サイトでもKindle Paperwhiteが発売された11月19日からKindle版の書籍の販売が好調で12月8日までに133冊販売されている。Kindle paperwhite購入者の「読書欲」は高いと感じる。売っていない本まで自炊して読もうとする国民性も、裏返せばKindle Paperwhiteでもっと本を読みたいというニーズの表れとも取れる。

 「買いたい」という読書が居るのに「売り物」が無い今の状況を見ていると、素直に「もったいない」と感じる。

 Kindle Paperwhiteで読書を行っていると紙の書籍を完全に置き換えるものではなく、紙向きの書籍、電子書籍向きの書籍といったように、内容、利用形態に応じて棲み分けが出来ると感じる。例えば小説のように一方通行に読み進めるコンテンツは電子書籍リーダと相性が良いが、技術書のように何度も過去のページを参照するようなリファレンス形式のものは紙の方が利便性が高いように思う。

 米国電子書籍市場では短編小説が売れるなど、紙の書籍とは違った市場も形成されている。

 また、紙では売れ筋の本を出版し、初版から一年が経過し動きが止まった書籍は電子書籍で出すというロングテールを意識した販売も考慮する必要があるだろう。実際当サイトのKindle書籍の売れ行きを見ても「どれかが断トツに売れる」というよりはどの商品も同程度売れる傾向にある。

 今は電子書籍市場は小さく、紙のビジネスの脅威になるレベルでは無い。むしろテストマーケティング的に紙で売れる本、電子書籍リーダで売れる本を学ぶ時期では無いかと思う。

 いずれにせよ、今日本の電子書籍リーダ保有者は「本に餓えている」。全体のパイは少ないが、購買意欲の高い市場を放置するのももったいないのでは無いだろうか。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。