LTEとかWiMAXとか4GとかAXGPとかって何が違うの?進化の過程を解説

通信業界ではLTE元年と呼ばれた2012年があと少しで終わろうとしているが、気が付けばニュースやCMなどではLTE、WiMAXといった言葉が飛び交い、店の看板には「WiFi使えます」というシールが貼られている。今回は、「さちテク」によるこれらの乱立する無線技術がどのような経緯で進化してきたのかを解説頂いた。

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ニュースやCMで飛び交う謎の言葉 LTE、AXGP、4G、WiMAX……

これらは、今世の中に出てきた携帯電話の最先端かつ最新鋭技術を表す言葉です。
でもこれらの言葉が気になって、調べてみようとしても、なんだか難しいことばかりでてきます。
お店に聞くと「速いんです!」「新しいんです!」「すごいんです!」「でも月7GBまでで、あっ、でも超過した場合は買い足していただければ」などと余計わけがわからなくなります。

かと言って詳しい人に聞くと、「LTEは下りにOFDMAを採用した第4世代の通信方式、おっと正確には3.9世代だけどねフフフン・・・!」みたいな宇宙語ばっかり出てきて果てしなくよくわからなくなってきます。

なんじゃこりゃー!!
いったい今携帯はどうなっとんじゃーー!!!
誰に聞いてもわけがわからん!!

というわけで、今日のテーマは「カーチャンでもわかる最新携帯技術まとめ」です。

まずは世代の話をしよう

まずはすごーくわかりやすくて、そして最低ここだけ読めばなんとなくわかる「世代」の話です。

携帯電話はいままでに2回、技術的に大きな進化をしています。

一番最初の携帯電話を「第一世代携帯電話」として、
1回目の進化で生まれたものを「第二世代携帯電話(2G=にじー:2nd Generation)」
2回目の進化をして以降を「第三世代携帯電話(3G=すりーじー:3rd Generation)」
…と、ギョーカイの人は呼んでいます。なぜか2Gだけ半分日本語混じりです。

携帯電話の原型が生まれたのは、だいたい80年代。
この頃の携帯電話は一部の選ばれし超リッチメンだけが持てるスーパー高価な代物だったのですが、リッチメンが使うだけあって、限り在る電波を贅沢に使っていたため(つまり電波の利用効率が超悪い)このまま数が増えると行き詰まってしまう問題が見ていました。
この問題を解決するため、携帯電話が遂げたのが第①の進化「デジタル化」です。

デジタル化とは、かいつまんでいうと「物事を別の簡単なものに置き換えることで圧縮する」ことです。これにより電波の利用効率が圧倒的に改善し、携帯電話をより多くの人が使えるようになりました。
※最近、TVでもアナログが廃止されて地デジ(デジタル方式)になりましたが、これもテレビ用の電波を効率化して、電波に「空き」をつくって別のことに使うために行ったことです。

え?デジタルにするとなんで効率良くなるの、って?
……えーと……原始時代に魚と肉を物々交換していたのが、貨幣の発明により一気に効率化されたのと同じような、そんな感じだと思ってください…。


(専門家の人にぶっ叩かれそう…。)

さて、このデジタル化によって多くの人が携帯電話を使えるようになっただけでなく、音声以外の「データ」を扱えるようになりました。そう、メールやWebができるようになったのです。

※日本初のショートメールサービスは1997年に始まりました
※i-modeが出来たのは1999年です。ほんとにこのまえだ!

この頃から携帯電話はだんだんと「電話」の領域を離れていきます。メール、写メール、絵文字、そしてiモードから始まったインターネット…出来ることがどんどん多くなっていくについれて、扱うデータの量も当初の想定を遥かに超えたものになってきました。

そんな時代に対応すべく、そしてもっと色々なデータ(動画や音楽などいろいろなメディア)を携帯電話で扱えるよう、効率的になった通信をより進化させた「第三世代携帯電話(3G)」が登場します。

これが第②の進化=高速化による「マルチメディア化」です。

わたしたちが使っている携帯電話は、ほとんどすべてが①と②の進化から生まれた3G(第三世代)にあたります。いまがまさに3Gの円熟期と言えるでしょう。

そして今、10年刻みで進化を続けてきた携帯電話に、ついに3回目の進化がやってきました。第四世代の携帯電話=4G(ふぉーじー)がついに世に出始めたのです。携帯電話に訪れた大きな進化その③は、一言で言うと「超高速化」です。

色々なことが出来るようになった携帯電話は、どんどんYoutubeのような大きなデータや、とても早い反応が必要なデータ(TwitterやUstreamなどの、リアルタイムサービス)を扱うようになってきたため、それに耐えうる反応速度・スピードが必要になりました。

第4世代のスピードたるや、技術上の規格値で第3世代携帯電話の数倍。無線のブンザイで光ファイバー(有線)に匹敵するスピードを出すことを目標にしています。※この「規格値」が実際に出ることはまず絶対ないのですが、それは別の機会に

新聞やカタログに出ているFDD-LTEやTDD-LTE、AXGPというのはこの第3の進化を実現した技術の名前です。
その個別の技術や名前なんかを覚えるよりも「ついに携帯は第4世代が始まった!」という本質を掴んでおけば、バッチリです。

技術の名前と、製品の名前と

さて、ここまで携帯電話には大きな進化と、その進化により生まれた「世代」があり
・今が第3世代の円熟期であること
・そして第4世代が世に出はじめたこと
までつかめたと思います。

この知識を下敷きにすることで、一番最初に出てきた「宇宙語」を整理してみましょう。

この宇宙語たちには、ぜんぜんジャンルの違う言葉が入り交じっています。
①世代の分類
②技術の名前
③商品名(ブランド名)

このとおりに整理して言葉を当てはめていくと、案外と分かりやすくなります。

第2世代はPDCという技術が主流でした。「ムーバ」「シーディーエムエーワン」と言えばかなり懐かしいんじゃないでしょうか。このころは、まだソフトバンクではなくてJフォンでしたね。

第3世代の技術は似てるようで違う2種類があり、会社によって採用している技術が違います。
docomoとSoftbankは同じW-CDMA系、auはcdmaOneの進化形CDMA2000です。似ているようで違う技術なのですが細かいので割愛します、気になったらなんとなく、うどんとそばくらい違うんだなと思ってください。美味しさ(性能)はどっちも同じです。

さらに、第3世代と第4世代の間には、第3.5世代というややこしいものがあります。これが今最も私達が使っている携帯電話の技術でFOMAハイスピードや、3Gハイスピード、WINといった「第3世代の改良版」技術です。

きつねうどんとたぬきそばだと思ってください。

第4世代にもFDD系とTDD系の2つの技術がありますが、これはバーモンドカレーとククレカレーみたいなもんだと思ってください。細かいことはいいです。どっちもたいへんおいしいです。(技術マニア大激怒)

PHSとWiMAXは、実は上に書かれている技術たちとは全くの別物です。PHSは歴史ある技術で、歩みは遅かったのですが純国産の技術として2G,3Gと同じような進化を遂げてきました。3Gがそばうどんだとするなら、PHSは豆腐みたいな感じです。

逆にWiMAXはかなり新しい技術で、データを高速で運ぶことに特化しています。無理やり当てはめると3.5Gと4Gの中間くらいに当てはまると思います。サンドイッチ扱いしてみました。

ちなみにPHSもWiMAXも、面白いことに進化の果てにカレー(TDD-LTE)に行き着こうとしています。これはこの2つがTDD系の技術だからですね。
※PHSが進化したAXGPは、今はSoftbankが継承して実質TDD-LTEとして扱われています。

便利だけど気をつけて!

というわけで便利でぶっちぎり高速な第四世代がきた!やった!
と喜ぶべきなのですが、この4G通信はあまりにスピードが出過ぎるため、今まで気にしなくてよかったことに注意を払わなくてはならなくなりました。それは「帯域制限」です。

実は「パケットし放題」などと言われていますが、FOMAでもSoftbank3Gでもau WINでも、使いすぎると「おしおき」を受けて通信スピードが遅くなる(=帯域制限する)契約になっています。
※制限のかけかたは各社で異なる
「それって使い放題じゃ無いじゃん!ウソつき!」となりますが、これは携帯電話のような、1つの設備をみんなでシェアしている仕組みに必要な「みんなが損をしないためのルール」なのです…。
(これはこれで是非!お伝えしたい仕組みなのですが、今回は割愛します)

さて4G通信でも当然、この帯域制限が存在します。
7ギガバイト/月、というのがその制限量で、実質業界で統一されています。これが多いか少ないのかは人によってぎゃーぎゃー議論があるのですが……。
覚えておくべきなのは、4Gの通信速度をもってすれば思った以上に色々なものが快適で、なんでも4Gスマホで済ませてしまいます。そうすると、この7ギガバイト/日というデータ通信量に意外とあっさり到達できてしまうことです。

スマホで一日中、ジュークボックス代わりにYoutubeを流しまくっているとまずアウトです。
例えば、わたしのイチオシ Lindsey StirlingちゃんのYoutube動画は3分26秒で13.7メガバイトありました。

1メガバイト=1/1000ギガバイトなので、7ギガバイトなら僕はLindsey ちゃんのYoutube動画を1ヶ月に510本堪能できます。510本!!30日で割ると!あれ、17本/日くらいか……。
一本が3分半くらいなので、17本だと、えーと1時間くらい……。

結論 : 1日 17Lindsey(新単位)=1時間 Lindsey(新単位)が限界

すくねえ!!
Lindseyちゃん時間が1日1時間なんてすくねぇっ!!

なので、僕はちゃんと家ではインターネット契約をして、WiFiを家の中に設置しています。有線のインターネットには制限なんてありませんからね。これで、家の中では思う存分データを使いまくれます。無限Lindseyちゃんです。(実際、携帯電話のデータ通信は家の中が一番多いようですので、効果的だと思います)

皆さんも、是非WiFiでLindesyちゃんの演奏をCheck!

時代は次のステージへ!

ということで、世の中に見知らぬ言葉があふれた時、それは技術進化がおこった証拠です。いま私たちの携帯電話は第3世代から第4世代へ進化を始めました。

この技術進化がもたらす重要なポイントが一つ。4Gの速度は、一般的な有線インターネット(いわゆるパソコンのインターネット回線)に匹敵するほどになりました。携帯でしか見れないもの、パソコンでしか見れないものが取っ払われ、その場に最適な端末と最適なネットワークで自由自在にコンテンツを楽しめる時代になったんです。

例えば電車の中では4G通信×スマホで、カフェでは公衆WiFi×タブレットで、家では自宅WiFi×大画面のパソコンでそれぞれ最高のLindseyちゃんの演奏を楽しめるわけです。いろいろな端末とネットワークを賢く組み合わせることで、今以上の便利さが見えてきます。

携帯電話の「できること」は、その速さに比例するといっても過言ではありません。実際に第3世代の携帯電話は、もはや「電話」の領域をはるかに飛び越えてしまっています。これが第4世代になることで、今後どのようなことができるのか。どんなことをしようとする人が出てくるのか、いまは誰にとってもまったくの未知!各社の4Gネットワークが全国に広がりきるのは、あと2年くらいかかると個人的に予測しているのですが、その時がほんとうに楽しみです。

時代はいま、次のステージへ



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。