米クリアワイヤ、米スプリントからの買収案に合意

米クリアワイヤは米スプリントの提示した22億ドル(1株当たり2.97ドル)の修正買収案に合意した。

これにより、ソフトバンクは米国のスプリント、クリアワイヤを傘下に収めることになるが、ソフトバンクのTD-LTE戦略に注目が集まっている。

FDD-LTE方式と、TD-LTE方式

LTEにはFDD-LTE方式とTD-LTE方式の二種類存在する。今回買収したクリアワイヤが建設中のLTEネットワークはTD-LTE方式であり、ソフトバンクの「Softbank 4G」、「AXGP」と同じ方式を採用している。

 FDD-LTE方式 周波数分割多重方式
  上り(端末→基地局)と下り(基地局→端末)の周波数帯を分け通信を行う。
  上りと下りで通信帯域が同一となる

 TD-LTE方式 時分割多重方式
  上りと下りの通信で同じ周波数帯を使い、時間で分割して通信を行う。
  上りと下りで通信帯域の比率を変更することが出来る

 現時点で世界におけるLTEの主流はFDD-LTE方式であり日本でも、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリア全てがFDD-LTE方式を使用している。但し、ソフトバンクのAXGPはTD-LTE方式互換であり、UQコミュニケーションズのWiMAXはWiMAX2でTD-LTE互換へと移行する予定だ。

 現在、通信キャリアの目下の悩みは周波数枯渇であり、FDD-LTEは通信を行うにはペアの周波数が必要で、TD-LTEは一つの周波数で済むので単純に考えればTD-LTE方式の方が周波数リソースの有効活用という点では有利だ。ZTEのShi Lirong氏はモバイルアジアEXPOで「TD-LTEの周波数コストはFDD LTEの約1/5であり、最も費用対効果の高い通信方式」と述べ、FDD方式に対しての優位性を述べていた。

TD-LTE EcoSystem

GSAのレポートによると、2012年11月時点において世界で11の通信事業者がTD-LTEによる商用サービスを開始しており、17のオペレータが準備中だという。

 ABIResearchの予測では通信キャリアの積極的なTD-LTEへの投資が進んだ場合には、2014年には世界で44億人のTD-LTEエコシステムが構築される見込みだという。世界最大の通信事業者で約6億5千万の加入者数を誇るChina Mobileを筆頭に、インドのBharti Airtelといった新興国の多くがTD-LTEを採用しており、先進国はFDD-LTE、新興国はTD-LTEといった構図が出来上がるかもしれない。

TDE-LTE対応iPhoneは登場するか?

 現在最も市場の牽引力のあるiPhone5はFDD-LTEのみをサポートしている。このためソフトバンクモバイルは急遽FDD-LTEの対応に迫られ、FDD-LTEの「Softbank 4G LTE」とTD-LTEの「Softbank 4G」の二種類のLTEの運用を行っていた。

 しかし、後継機となるiPhone6、もしくはiPhone5がTD-LTEをサポートすればソフトバンクはTD-LTEにリソースを集中することが可能になる。また周波数利用効率も上昇する。

 アップルがTD-LTEを採用することになるかが、今後注目されるだろう。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。