あなたの顧客は誰ですか?マーケティングにおけるターゲットの話

金井ブログの初回はマーケティングのお話。
私が日々考えているマーケティングの基本的な部分を3回連続で書いてみようと思います。

1回目は「企業活動におけるターゲット設定について」です。

みなさんは、マーケティングにどんなイメージを持っていらっしゃいますか?販売促進、データ分析、プロモーション・広報、流通、MD(マーチャンダイジング)などなど。
所属する組織、関わる事業によって、その定義・役割は様々だと思いますが、様々な著作の中ではこう定義されています。

◎マーケティングの狙いは、顧客というものをよく知って理解し、製品が顧客にぴったりと合って、ひとりでに売れてしまうようにすること
ドラッカー「マネジメント」(1970年、ダイヤモンド社)

◎どのような 価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること「コトラーの戦略的マーケティング」(2000年、ダイヤモンド社)

要約してみると、こう読めるのではないでしょうか?

・ドラッカー:製品・プロダクトを魅力的にすべきという考え方
・コトラー :製品がもたらす価値、すなわち製品からサービス、アイデア、その付随する付加価値を魅力的にし、顧客満足を追求すべきという考え方

これらはしばしば、マーケティング1.0(製品主義)、マーケティング2.0(顧客主義)とも記されます。
新作「コトラーのマーケティング3.0」では、これから先のマーケティングは価値主導のマーケティングとも定義しています。


マーケティング3.0ではマーケターは人びとを単に消費者と見なすのではなく、マインドとハートと精神を持つ全人的存在ととらえて彼らに働きかける。
消費者はグローバル化した世界をよりよい場所にしたいという思いから、自分たちの不安に対するソリューション(解決策)を求めるようになっている。

選択する製品はサービスに、機能的・感情的充足だけでなく精神の充足をももとめている。
コトラーのマーケティング3.0より引用)


なんだか、本を読むとなかなか難しいように感じますが、様々な意識・興味・考え方を持った個人個人に向けた継続的な経済活動を支えるマーケティングを、私自身は今こう考えています。

■私が考えるマーケティング
①顧客が求める価値・目的を、提供する商品やサービスをもって解決する仕掛けを考え、実行すること
②もしくは、求める価値・目的を、提供する商品やサービスに触れることで、顧客が新たに発見できること。

コトラー大先生もおっしゃっていますが、やっぱり製品・サービスを購入、使って終わりということではなく、その結果、どんな価値・経験を与えるのか?その結果、目的を達成する、課題を解決する手助けになるか?ということがマ​ーケティングの出発点になるべきだと私は思っています。
(※ASSIOMA本田さんのUX記事にもありましたね。)

この製品やサービスが果たすべき役割、導きたい結果やそれを叶える施策を考えていく上で、一番最初に考えるべきことが、ターゲット(顧客)設計だと思います。誰に対して、製品やサービスを提供すべきなのか?

これまでのターゲット設計では性別・世代や世帯構成、暮らしている地域、年収、可処分所得、趣味・興味、ライフスタイルなど、様々な切り口が提示されてきました。私は、いずれも間違ってはいないと思います。

ただ、企業の経営活動を支えていくマーケティングとしては、本当にそれだけで充分でしょうか?

◎人の行動を決める3つの要素に注目しています

1.自身が果たす社会的役割の中で生まれる意欲や欲求
2.時間
3.お金

例えば、私の社会的役割とは、

・娘(長女)
・姉
・孫
・会社員
・部長
・友達
・ペットの飼い主 などなど

となります。

日々起こる様々な意欲や欲求をその時持っている社会的役割とかけあわせ、つまり、人の行動が起きる原点に立ち返って、提供する製品やサービスに対する最適なターゲットを設定していくというイメージです。

例えば、真夏の炎天下、のどが乾いている状況の中で、何か飲みたい(意欲・欲求)に対して、

・自販機やコンビニなどで缶ジュースを買う
・カフェに入る
・ジュースバーで立ち飲み
・水道水を飲む
・結局、我慢する

という意欲や欲求を解決する方法はいくつかありますが、

・部長     :自販機もカフェも入れるが、勤務時間中なので我慢
・友達     :相手と時間とお金の同意の上、カフェに入るor我慢
・ペットの飼い主:ペット同伴ではカフェに入れないので我慢するor自販機

というそのタイミングでの私の社会的役割や置かれている状況において、選択できる方法には変化が訪れてくるのです。その多くは人格すら変わるかのように。

どんな製品やサービスにも、当然のことながら、それらがもたらす価値にはほとんど代替手段があります。今回の例で言えば、「のどを潤す=飲み物を買う=缶ジュース、ジュースバー、カフェ、飲み屋さん」などです。

意欲・欲求とその時の社会的役割に、その価値についやせる時間とお金という要素をかけあわせ、代替手段との差別化をはかるということです。

製品やサービスのターゲットを設定していく際、この3つの要素をひもといて、誰が自社の製品やサービスを使う可能性があるか?を考えてみると、ターゲット像は見えてくるように思います。

マーケティングの権威「フィリップ・コトラー」は言っています。
「マケターとして採用するのは、人生に熱中できる人間に限るべきだ。そうでない者は経理に回すべきである。」※経理部の皆様、ごめんなさい。。

私はマーケターとしての基本資質として、

・ミーハーであること(興味の幅が浅く、広い)
・実行推進力

であると信じています。

顧客がもとめる価値を正しく理解しない限りは、提供すべき製品やサービスを創造することはできないのではないでしょうか?顧客がもとめる価値を理解し、製品やサービスに反映したとき、きっとそこには行動(Action)が引き出されているはずです。

そした対象と定義した顧客の行動が引き出されることにより、継続的な企業活動がより強固になると思っています。

今回ご紹介した3つのポイントが、少しでもヒントになるとうれしいです。
また、マーケターのみなさんが、それぞれ思うターゲット設計の条件や定義などもコメントなどをいただき、集合知のパワーでマーケティングを考えていきたいと思っています。

次回は、マーケターが自分とは異なる顧客と向き合うには?というテーマでお届けしたいと思っています。自分とは全く異なる社会的役割・置かれている状況の違う顧客に対して製品やサービスを提供するとき、マーケターはどのように考え、施策を考えていくのか?
事例をまじえながら、お伝えしたいと思います。

プロフィール
金井 路子(かない みちこ)
株式会社ディー・エヌ・エー(http://dena.jp)所属のマーケッター。現在はオークション事業にて、マーケティング・新規事業立案担当。サービス構築、企画・運営から、バイヤー業務まで、ECに関わって丸10年、携帯電話コンテンツ企画・開発に関わって12年になります。「コマース・EC・オークション」「マーケティング」「プロモーション・PR」「ソーシャルメディア」という業務分野に加え、「HERO」「エンパワーメント」という組織・運用に関することも書いていきたいと思っています。


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    金井 路子(かない みちこ)
    株式会社ディー・エヌ・エー(http://dena.jp)所属のマーケッター。現在はオークション事業にて、マーケティング・新規事業立案担当。サービス構築、企画・運営から、バイヤー業務まで、ECに関わって丸10年、携帯電話コンテンツ企画・開発に関わって12年になります。「コマース・EC・オークション」「マーケティング」「プロモーション・PR」「ソーシャルメディア」という業務分野に加え、「HERO」「エンパワーメント」という組織・運用に関することも書いていきたいと思っています。