Nexus Oneの不振から見えてくる、Googleビジネスの限界

インターネットの巨人集団「ハイパージャイアント」の一つであるGoogleが鳴り物入りで発売した、Nexus One」が不振だ。
こちらのニュースによると発売一ヶ月で8万台を発売したとある。

 発売一ヶ月時点のスマートフォン販売台数の比較
 Iphone 60万台
 Doroid 57万5千台
 Nexus 8万台

iPhoneキラーとして噂され、Nexus発表時のUstreamによるLive中継では全世界の人々が熱狂してライブを共有していた。しかし、蓋を開けてみれば、期待外れと居わざるをえない結果になってしまっている。

何故Nexus Oneは失敗したのか?

先程の記事の内容によれば、Nexus Oneの不振の原因は、google自社サイトのみでの販売で、携帯電話会社の販売チャネルを活用出来ず、一般消費者へのアピール不足が原因とある。

確かにその通りだと思う。しかし、全世界のインターネット人口は2008年のデータによれば、約15億人とされいる。そして、このインターネットの世界でgoogleは検索エンジンで圧倒的なシェアを誇り、「Google」というブランド名はインターネットを利用しているユーザの大半は知っている存在になっているだろう。

そんなgoogleが携帯電話を発売するとあって、全世界のメディアがこぞって報道していた。そういった点を考慮すると、一般層へのアピール不足はあるにしても、「売れなさ過ぎ」という感想を持たざるを得無い。

Apple信者と、Google信者

 Appleの製品は例えどんな製品であったとしても、「林檎マークが付いていたらとりあえずは買ってみる」という、世界には俗に言うApple信者と呼ばれる人種が存在する。その数は10万人とも、100万人とも、正確な数はわからないが、とりあえずMAC Worldが開催される度に集まる人々は「Apple信者」の称号を与えられるようだ。そして、彼らはAppleにお布施する事をまるでイベントのように楽しみ、その出来が良かったら絶賛するし、もし、残念なことに出来が悪かったら「出来の悪い子程可愛い」の精神で寵愛する。ようは、本当に信者なのだ。

 そして、インターネットの世界にはもう一つ熱烈な信者を抱えるブランドが存在する。「Google信者」だ。Googleの出すサービスはとりあえずなんでも使ってみる。検索、chrome、gmail、google earth、google map、andoroid、chrome os、GoogleのリリースするサービスはGoogle信者の間で瞬く間に広がり、既存のサービスのシェアをあっと言う間に奪っていく。Google信者にとって、とりあえず「青、赤、黄、緑」の入ったロゴを見ると他社のサービスより「Cool」に感じる魔法の効果がある。

 どちらも、ICT業界に存在する「二大信者」を抱えてる人気ブランドだ。では、何故「Google信者」を抱えるGoogleのNexusは販売不振を抱えているのだろう?

Googleのサービスは「Cool」だよ、でもその理由は「無料だからだよ」

 答えは簡単だ。「Apple信者はお布施を払う」「Google信者はお布施はしない」という事に他ならない。

 みんなGooleのサービスは喜んで使う。確かにgoogleのサービスは、動作が機敏で、無駄が無い。そのため私が利用しているサービスも大半がgoogleだ。でも、きっと大きな理由は「無料」である事が大きいだろう。

 今囘のNexusの不振が意味する事は、google信者は「お金」を払わないという事であり、googleの求心力が「無料である」という点が大きかった事を裏付けているように私は感じる。

 Google信者の期待して事は「iPhoneキラーの登場」ではなく、「Nexsuの無料配布」なのかもしれない。

無料ビジネスの限界

 「有料販売モデルのNexus Oneの不振」これは「google」の出すサービスは有料になれば、途端に競争力を失うのでは無いか?という予感を感じさせる。

 googleの素晴らしいサービスが無料であり続けている限り、googleの収入基盤である広告収入は磐石だろう。しかし、インターネット広告の世界でシェアを伸ばし続ければ、資本主義という制約の中では、いづれ独占禁止法の対象になってしまう。

 広告収入による無料モデルに頼ってしまっていては、広告市場規模がそのままgoogleの成長の限界になってしまう。(確かにそれは莫大な利益をもたらす市場である事に違いは無いが)

 「Googleは無料だ」というブランドイメージでシェアを拡大してきたGoogle。
 しかし、そのイメージは「例え100円であったとしても「高い、googleなのになんで無料じゃないの?」という、心理的抵抗を生む原因となってしまう。

 今囘のNexus不振をきっかけに、如何に自分達のサービスに対価を払って貰えるようになるか?これがこれからのGoogle成長の課題となるだろう。

Nexus不振が予感させる、「デジタルニュース有料化の失敗」

 「今まで無料だった物が有料に切り替わる難しさ」をGoogleでさえ痛感したgoogle nexusの不振。

 同じような試みを、ネットニュース業界も歩もうとしている。

 「ネットで無料で見れるニュース」から「ネットの情報は有料」という意識改革。Googleでさえ苦労する「無料から有料への誘導」如何にネットニュース業界が舵を切っていくのか?目を離せない一年が続きそうだ。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。