実用化が近づいてきた「光学迷彩技術」

人間を「透明人間」にしてしまうハリーポッターの世界に登場しそうな Invisibility cloak(透明マント) の実用化も近いかもしれない。物体を透明に見せる技術で現在実用化が進んでいる物に RPT(Retro-reflective Projection Technology:再帰性投影技術)と呼ばれる技術がある。

これは非常に簡単に言えば、人の背中にカメラを付け、それを前面にプロジェクタで投影するという手法だ。最近の技術の進化で50ミクロン程のガラスビーズを散りばめてそこに投影する生地が開発されている。これを利用すると「Invisibility cloak」が出来上がる。

透明なメルセデツ・ベンツ

RPTを応用して、メルセデツ・ベンツがInvisible Mercedes(透明なベンツ)をプロモーションで利用したことが今年話題になった。この映像は、ベンツの水素燃料電池「F-CELL」のプロモーションとして作成されたプロモーションムービだ。車が環境にとけ込み一体化するということを「透明にし、周囲に溶け込む」ということで表現した。

この映像は、下記の手法で撮影されている。
1) 片側にLEDライトを取り付けたシートで覆い、反対側にカメラをセット
2) カメラが捉えた風景をLEDシートに映し出す

トヨタ・シースルー プリウス

「デジタルコンテンツEXPO 2012」でトヨタはシースループリウスを展示した。車体の外側の映像を内面に投影することで、外の景色が透けて見える。これにより、運転手がより車外の情報を確認しやすくなり巻き込み事故などを防止する効果が期待されている。

カメラとプロジェクタを使用しない Quantum Stealth(量子ステルス)

上述した光学迷彩技術はカメラとプロジェクタ又は映像を投影可能な特殊な素材が必要になるが、先日カナダの「Hyperstealth Biotechnology」が発表した、「Quantum Stealth」は、カメラもプロジェクタも不要というから驚きだ。

モックアップを見る限り他の技術と比べて非常に自然に透過しているように見える。但し、Quantum Stealthの動作原理が公開されていないため、真意の程は不明だ。

「透明人間」には誰もが一度は憧れる。SFと現実の区別が付かない世界は、すぐそこまで近づいている。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。