通信の中立性で対立する Free vs Google

500万人以上の加入者を持つフランスのISP Freeは、ほとんどのウェブ広告をブロックするという異例の措置を開始した。Freeはフランスで最も人気のあるISPの一つ。
Freeは2013年1月2日にFreeが提供するセットトップボックス、freeboxのファームウェアアップデートを行い、デフォルトで広告ブロック機能を有効にしたと発表した。

freeboxのファームウェアが1.1.9にアップデートされた契約者はオプトアウトシステムによって、大部分の広告をブロックするようになる。Freeの加入者はWeb広告を見たい場合はルータの設定を変更する必要がある。
フランスのウェブサイトNumeramaはこのFreeの広告ブロッカーを回避出来たと主張するが、他のニュースサイトでは広告がブロックされている所もあるようで、まだ完全に広告を排除出来ているわけではないようだ。なお、Freeのホームページは現在自社が提供する独自のバナー広告を表示している。

広告収入に依存するニュースサイト等からは強い批判

こういった動きに対してフランスのサイトは驚いてはいないが、ホワイトリストによる回避策などが無い点については懸念と批判を示している。一部のニュースサイト等は広告のブロッキングは収入源を断たれることも意味しており強い批判を示している。

問われる通信の中立性

通信事業者やISPは通信の中立性と、通信の秘密を守らなければならない。通信の秘密とは通信の中身を覗いてはならないという決まりであり、通信の中立性とは、流れる通信パケット等に通信事業者やISP等の仲介事業者が手を加えてはならないという決まりだ。

当然、今回のFreeの行為は通信の中立性を大きく犯していると考えられる。ウェブ広告をブロックするという取り組みは、FreeとGoogleの間で継続している勢力争いの一環であると考えられている。FreeはYouTubeの再生速度を故意に減速しているとフランス監査機関は調査を行っている。新たな収益源を獲得したいと考えるメディア企業の要請により、フランスの議員はGoogleにコンテンツに対して料金を支払う法律を提案している。

しかし、今回はデフォルトで機能を有効にしているが、これをユーザ選択による広告ブロックになれば状況は異なってくる。ユーザからすれば余分な広告を見なくて済むようになるわけだが、そうなった場合にユーザはどのような行動に出るのだろうが。

通信の中立性という観点でも、広告に収益を依存する現在のウェブビジネスという観点でも、目が離せない騒動だ。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。