全文転載メディアに対する対策を考えた。

昨日の「BLOGOS退会したら検索流入が三倍に増加した」は反響が大きく、色々な方が問題意識として薄々感じていた疑問であったことが良く分かった。

ネタフルのコグレマサトさんや、Geekなページのあきみちさんもこの記事に対して考察を書いて下さっていた。

お二人のブログの内容を読んでいると、どうやらBLOGOSだけでなく、ガジェット通信への寄稿などを巡って昨年末から、「全文転載はブロガーにとって有りか、無しか」というテーマで盛り上がっていたようだ。

私も時折、ガジェット通信から転載依頼が来て許諾したことがあったが、ガジェット通信もBLOGOS同様に全文転載するパターンなのでガジェット通信に寄稿したら該当記事の検索エンジンからの流入が無くなったということのようだ。

全文転載形メディアに対しての対策

そんなに問題があるのに何故「寄稿」するかと言うと、「知名度が向上する」という期待や、純粋に多くの人に読んで貰いたいというニーズがあるからだろう。そこで、どうやってこういった「全文転載型メディア」と付き合う方法があるのか、検索アルゴリズム、メディアへの要望、自分の工夫という三点から考えてみた。

検索アルゴリズムの変更

・著作者サイトの表示順位を高くする
 もっとも理想的な解決策はグーグルが検索アルゴリズムを改良し、コンテンツ著作者を特定し、コンテンツ著作者のサイトを優先的に表示することだ。しかし、これは検索ユーザ側の視点に立つと、検索ユーザの求めることはコンテンツ著作者のサイトかということより、信頼性の高いサイトなのかということの方が重要だと考える人は多いだろう。

 個人ブログより企業が運営しているサイトの方が客観的に信頼出来る、同じ個人同士なら長く続けている人、まめに更新しているサイトの方が、出来て間もない、あまり更新されないサイトより信頼出来ると考えるのは、初めて訪問したサイトなら多くの人が客観的にそう感じるだろう。

 そのため、検索ユーザ視点では、同じようなコンテンツが複数のサイトに掲載されていた場合、コンテンツ著作者かどうかより、サイトの信頼性で検索結果が表示された方が利便性は高まる。そのためグーグルのアルゴリズムも著作者サイトよりも、サイトの信頼性の方が基準が高くなっているのだろう。

・複数サイトをズラッと並べて表示する
 それでは、複数の同じ内容が掲載されているサイトを複数並べて表示すれば良いじゃないかという意見もあるかもしれないが、これも検索利用者視点で考えると、同じ内容を書いたサイトがズラッと並ぶのは不便だ。異なる内容のサイトが並んだ方がより豊富な情報にアクセス出来る。そのため、前述した信頼性を比較した上で、検索者にとって有益なサイトが優先されるようになっている。

・アルゴリズムは今のままが良いのでは無いか
 検索エンジンのアルゴリズムが変更されることはブロガーには良いかもしれないが、検索利用者には不便になる可能性がある。そうなれば検索利用者が検索エンジン離れを起こすので、ブロガーにとっても長期的にはデメリットになってしまう。と、考えるとアルゴリズムの変更は今のままで良いかもしれない。

転載メディア側の対応

・noindexを付与して貰う
 BLOGOSやガジェット通信側で転載記事には「noindex」タグを付与し、検索エンジンにインデックスされないようにしてくれればベストだ。しかし、これはメディア側にメリットが無くなるので実現は難しいだろう。

・一定期間経過後に削除して貰う
 例えば一ヶ月終了後に転載記事を削除するという方法だ。ヤフーニュース等のニュースサイトでは他媒体からの転載記事は一定期間後に削除されているケースを見かける。転載型メディアもこのような運営になってくれれば良いが、これもメディア側にメリットが無くなるので実現は難しいだろう。

・original-source、canonicalタグを付ける
 前回のブログのコメントで頂いたご意見に「canonical」タグを付与すれば良いのでは無いか?との意見があった。また、コグレさんはoriginal-sourceタグを付与すれば良いのでは無いか?とブログに書かれていた。

 しかし、これは効果が無いように思う。この二つはどちらも「私がオリジナルコンテンツだ」と宣言するタグだが、前述したようにグーグルの検索アルゴリズムはオリジナルコンテンツかどうかも評価対象にするが、それよりも信頼性の高い有益なサイトかどうかを評価するようだ。

 従って幾ら「私がオリジナルだ」と言っても、転載サイトより高評価を得てないと上位表示されることは難しいだろう。それに、このタグが常に優先されるとなれば、本当に「コピー」されてしまい、その「コピーサイト」がこのタグを付与していたら、そちらがオリジナルになってしまうというのも、それはそれで問題だ。

・一部の高PV獲得者は優遇されるかもしれないが期待薄
 メディア側もなぜ良い記事をピックアップして転載するかと言えば、「無料で記事を作成する良質なブロガー」の記事を集めれば集めるほど、コストをかけずにメディア運営が出来るからだ。新聞系のサイト等は自社に高級の記者を雇って記事を書かせているのだから、一つの記事にかかるコストが断然安くなる。

 面白い記事が集まれば当然読者は集まる、更新も多く読者も多ければ検索エンジンからの評価も高まる。検索エンジンの評価が高まれば検索流入も増える。検索流入が増えればメディアの運営は安定する。

 こういう狙いがメディア側にはあるのだから、メディア側に「noindexを付与してくれ」と申し出ても却下されるのがオチだろう。検索インデックスもされない記事を幾ら転載しても旨みが無い。但し、それでもソーシャル流入が大量に見込める著名なブロガーなら特例で認める例は出てくるかもしれない。そうでなければ、PV数と引き換えに検索流入は諦めるしかないだろう。

 しかし、メディア側が理解してくれるなら「noindex」を付与して貰うのがベストな方法だと考える。

ブロガー側の対応

・ブログを複数持つ
 私もBLOGOSを退会した後でふと思ったのが、メインで自分がオウンドメディアとして育てたいブログと、転載用のブログを作ることだった。私はもともとITmediaオルタナティブブログにも記事を書いていたので、あちら側をBLOGOS用のブログにしようかと思った、今でも少しそう考えている。

 検索流入はいらないけれど、多くの人に疑問を投げかけたいと思うときはある。例えば、「社会貢献ブームとソーシャルメディアが創りだす、善良な下流市民」のような記事は別に検索流入等は狙っていなくて、社会貢献ブームを利用して未来ある若者を利用しようとする動きを懸念して書いたものだったので、多くの人に読んで貰えればそれだけでよい。

 こういった「広く世に伝えたい」と思って書いた記事を書くブログを別途用意し、そこの記事を転載対象として運営するというのは有効だと思った。BLOGOSに記事を書かれているFilm Goes With Net ネット館さんが、実際そのように運営しているようだ。

 この方法が一番現実的なように思う。(ただし、BLOGOS側が都合よく転載してくれるかどうかは別の話だが)私もBLOGOS側が認めてくれるなら、ITmediaオルタナティブブログをBLOGOS転載ようにしたいと思う。

意外な人が検索流入減で苦しんでいた

 BLOGOSアワードに輝いたイケダ・ハヤト君が、自身のブログの運営報告で「60万PV、売上52万—特需モード、しかし検索流入がダウントレンド」だと悩んでいた。

ボディブロー効いてます…。先月のレポートで「Googleの検索アルゴリズム変更の打撃を受け、月間で5〜7万PV程度、検索流入が目減りしそうな勢いです…」と書いたのですが、予想通りマイナス4.5万PVほど検索トラフィックが減少しました。ぐぬぬ。
グラフを見てもわかるとおり、ダウントレンドは継続中でして、今月はさらにマイナス2〜3万PVとなりそうです。ソーシャルからの流入を意識してトラフィックを維持したいところ…。

一ヶ月で4.5万PV減少とはかなりの減少だ。BLOGOSを利用するブロガーのメリットは「認知度の獲得」であり、BLOGOSアワードに輝いたイケダハヤト君は最も恩恵を受けたと言っても良い筈なのに、自身のブログへの検索流入は減ってきているとのことだった。

今後イケダハヤト君がこのまま検索流入が減り続けたとき、どのように対策を練ってくるのか楽しみだ。

検索アルゴリズムは評判も記事の評価しているかもしれない

しかし、イケダハヤト君の検索流入減少は意外だったし、「全文転載メディア」とは別の要因かもしれない。そもそもの検索流入の桁が違うので比較にならないかもしれないが、私の場合「増えないが、減ってる実感」も無かった。

それにイケダハヤト君の場合は一日に五本記事を投稿するスタイルなので、全ての記事がBLOGOSに転載されるわけではない。BLOGOSに転載されなかった記事が検索流入を増加させても良い筈だ。それにも関わらず減っている。

あくまでも推測なのだが、ひょっとすると今の検索アルゴリズムは、「評判」も考慮に入れてるのかもしれない。記事の評判が「ネガティブ」なのか「ポジティブ」なのかという点だ。これはFacebookページのインサイト機能でリンクを共有した場合にどんな反応があったかを可視化してくれる。その中には「否定的な意見」の数もカウントされる。

既に、Facebookは投稿に対する「評判」を評価することが可能になっている。言語の取り扱いではFacebookより数段上を行くグーグルが同様のことを出来ていると考えてもおかしくはない。

検索アルゴリズムが「検索者に有用なサイト」を表示するのなら、過去にスパムリンクを集めたサイトが淘汰されたように、炎上によってトラフィックを集めているサイトを検出し、「PVは集めているが有益ではない」と評価するアルゴリズムを実装していたとしてもおかしくは無い。

イケダハヤト君のサイトについて私はどうこう言うつもりは無いが、客観的には「炎上系ブログ」として知られた存在だ。それに本人も炎上することを恐れないと言っているし、それなりに意図して炎上する記事を書いてる部分もあるのだろう。

もし「評判」が検索アルゴリズムに影響を与えるとしたら、炎上スタイルがあだになるかもしれない。あくまで推測の域は出ないが、今後のイケダハヤト君のサイトの検索トラフィック流入がどの程度で落ち着くのか興味深い。

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今回の件で悩んでいた時に、「これからはじめる SEO内部対策の教科書」という書籍を読んでSEOについて学んだ。SEOのプロには初歩的なことかもしれないが、タグの使い方など「実直」なことが書かれてあり参考になった。SEOについて真面目に基礎から学びたい人にはお勧めだ。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。