通信業界トピック 第三週

FCC 2015年までに全米50州へギガビットイーサネット導入する構想を表明

米FCCが2015年までに全米50州にギガビットイーサーネットを導入する構想を表明した。

表明の背景には米国ではNetflixやHulu、YoutubeといったHD動画を楽しむサービスや、グーグルやFacebookといったクラウド上で提供されるサービスへの消費者の依存が高まっている点にある。しかし、米国のインターネット速度は日本や韓国と比較して低水準にあり、音楽アルバムをダウンロードするのに15分かかるケースもあるという。

このような状況で米国がイノベータでありつづけるためには、高速なインフラが欠かせないとの危機感があった。

グーグル、フランス通信事業者「オレンジ」の通信コストを負担

新年早々フランスではISPとグーグルの争いが続いている。ISP Freeが広告ブロックを自社のモデムに適用し(結局これはフランス政府より禁止の命令が下された)、今度はフランスのテレコムオペレータ「オレンジ」が、グーグルとの間で通信量に対する「補填」を支払うことに合意したと、オレンジのCEO ステファン ・リチャード が、BFM Business TV で語った。

ステファン ・リチャードによればオレンジのトラフィックの約50パーセントはグーグルのトラフィックなのだという。しかし、グーグルがオレンジに対して幾ら支払っているかは明らかにしておらず、いつこの合意が成されたのかは明らかにしていない。

イギリス政府 コンテンツプロバイダーに対して新たな課税導入を検討

英国サンデーテレグラフの報道によると、英国政府は世界的な統一税目を設け、米国のGoogle、Apple、Facebook、Amazonといった大手コンテンツプロバイダーの収益情況を把握し、相応の税金を徴収することを検討しているという。

欧州では、昨年からフランスでも「グーグル税」と呼ばれるコンテンツプロバイダーが新聞サイトの記事を表示した際に得られる広告収入を新聞社や出版社へ還元する目的での課税が検討されている。(実際には2010年から検討は始まっていた。)

こういったインターネットにおけるグローグルな電子取引に対する課税、「インターネット税」は1990年頃から議論が始まったが、実現には至っていない。スマートフォンが普及しあらゆるものがデジタル化していくなかで、インターネットの脅威は日を追うごとに強くなっていく。しかし、一国だけがこういった税を採用するのであれば、グーグル等は「検索インデックスから削除する」といった行動に出る可能性もあり、そうなればイギリスやフランスの他の産業界からは大きな反発が出ることになるだろう。

衛星放送サービス事業者のDISH Network、ソフトバンクによるSprint買収審査停止をFCCに要請

衛星放送サービス事業者のDISH Networkは、ソフトバンクのSprint Nextelの買収について、FCCに審査を停止するよう求めた。DISH NetworkはSprintが買収交渉を進めているClearwireに対して、Sprint&ソフトバンクが提示した一株2.97ドルを上回る3.30ドルを提示。

DISH NetworkはClearwireに対して買収提案を行ったことを理由に、FCCに対してソフトバンクのSprint買収の審査停止を要求している。

アップルへの期待と失意で揺れるメディア報道

今週はBCNランキングを発端としたiPad vs Nexus7の話題で大いに盛り上がった。「タブレット」という市場を作り上げ長らく王者の座を守っていた「iPad」がグーグルの「Nexus7」に販売台数で負けたというのだから、海外の幾つかのメディアでも取り上げられていた。

しかし、これはBCNランキングの調査に、アップル直営店やキャリアショップが含まれていないため、正確な所は「アップル」と「グーグル」にしかわからないというのが本音だろう。

ただ、今年に入ってから「アップル」に対してネガティブな報道が目立つようになってきていると感じる。今回の件もそうだが、先週の本トピックで紹介した「アップルiPhone5の部品発注数を半減」とした記事もフォーブスが反論していたりと、「アップルの人気不調を取り上げたいメディアと、いやそうではない」とするメディアで対立しているように感じる。

ほんの数年前、ジョブスが生きていた時代にはどこのメディアも「アップルを絶賛」していたにも関わらず。全ては「アップルのイノベーションのDNA」が停止してしまっていることにあるのだろう。アップルの業績が好調であることは誰もが理解している所だが、イノベーションが生まれていないのも事実。イノベーションによって支えられてきたアップルの人気が「いつ陰るのか」それを見出す手がかりが見つかれば「スクープ」となる。

「ジョブス」がメディアを活用し、常に世間を魅了してきたように世間は「イメージ」に弱い。誰もが憧れるブランドであれば競って製品を買うが、「落ち目」となれば途端に見向きもしなくなる。アップルはその経験をジョブスが解任された時に嫌というほど味わっている。

この「スクープ」を物にしたいと願う、メディアの期待を裏切るには、アップルは好決算ではなく「あっと驚く製品」を発表するしかないだろう。ジョブスの残した遺産はとても大きなものだが、そのジョブスの遺産を超えることが今のアップルにもっとも必要なことなのだろう。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。