通信業界トピック 2013年 第四週

今週は日本企業の特筆すべき話題が多かった。アップル、グーグル、サムスン等注目すべき企業の決算の発表が相次いだが、これは別途レポートする予定だ。

グーグル2.5GHz帯を利用した実験用ネットワークをFCCに申請

米グーグルがカリフォルニア州マウンテンビューにある本社周辺で、2.5GHz帯を利用した実験用ネットワークに関する申請をFCCに提出したことが明らかになった。

グーグルがFCCに利用申請した周波数帯は、2524~2546MHzならびに2567~2625MHzの2つ。これは現在SprintとDish Networkが買収を競っている米Clearwireが利用を認められたEBS (Educational Broadband Service)およびBRS(Broadband Radio Service)の周波数と重なっている。

更に、グーグルはDish Networkと共同で新たなモバイルネットワークを構築中と昨年報道されていたこと、Dish NetworkがClearwire買収に意欲を見せていることから、グーグルがモバイル無線事業に進出か?と期待する報道が多く見られた。

現時点ではグーグルはこの件に関するコメントは控えており、また一部のメディアによるとコンシューマ通信用では無く、運用監視に利用する計画との報道もある。

この所グーグルは子会社の「Google Fiber」を利用したカンザスシティでのISP事業、ニューヨーク州での無料WiFi提供とアクセスの提供を開始してきているため、「モバイル事業」に関する市場の注目は高いようだ。

ソフトバンクのSprint買収を「無謀」と日本では判断する人も多いが、米国ではスプリントの持つ基地局とClearwireの持つ豊富な周波数、そしてTD-LTEとの基盤に対する評価が日増しに高まっているようにも感じる。

ドコモタブレット「dtab」端末を発表

ドコモが自社オリジナルのタブレット「ドコモタブレットdtab」を発表。2013年3月から発売される。一部報道では9975円と一万円を切る低価格がアピールされているが、それはキャンペーン価格であり、単体購入の場合は2万5725円。9975円で購入するためには2013年9月末までに、ドコモの回線契約+spモード契約+dビデオ6ヶ月間契約の3つを同時に契約する必要がある。

「アマゾンと狙いは同じ」という意気込みで、ハードの儲けは考えずコンテンツで収益をあげると「打倒アマゾン(Eコマース市場への進出)」に意欲を見せている。

基本的には「ドコモユーザ」向けの製品であり、ドコモの販売網などを考えれば、売れる可能性は高い。しかし、購入する層はどんな層だろうかと考えると、リテラシーの高いユーザはNexus7やiPad mini、Kindle Fire HDが対象となるだろう。リテラシーが低くても若い世代はiPadやNexusを好みそうだ。

そう考えるとドコモタブレットを購入する層は「シニア」が主戦場になるのでは無いだろうか。この戦略は悪くないように思う。2015年には団塊の世代が退職ラッシュとなり、余暇時間を持て余すようになるからだ。また、2015年にはスマートフォン需要はピークを迎えていると見る業界関係者は多い。今のうちにタブレットをばらまいて、2015年からの「シニアの余暇時間」を狙ったサービス展開は一定の成功を収めそうだ。

KDDI、ミャンマーで携帯電話事業進出検討

KDDIは住友商事と共にミャンマー政府に携帯電話事業への入札参加を表明。現在ミャンマーでは、携帯電話事業は国営企業が独占しており、人口約6200万人に対して、携帯電話利用者は309万人(約5%)に留まっていた。

KDDIと住友商事は1995年にも、KDDIがまだKDDだった時代にKDD、住友商事、モンゴルの通信コンサルティング会社ニューコムら三社で合弁会社モビコム社を設立していた。今回のミャンマー進出は両社にとって二度目のタッグを組んだ海外進出事業となるが、モビコムはモンゴルでは「モバイルの代名詞」となるほどに評価されており、両者にはインフラが未整備な地域を地道に開拓してきた実績は十分にある。

NTT Com、100Gbpsクラスのインターネット接続サービスを開始

NTT Comが法人向けに100Gbpsのインターネット接続サービスを提供。100Gbpsの提供はアジアとしては初。同社によればスマートフォンや動画サービス等の影響で10Gのリンクを複数本契約している企業が増加しており、そういった企業が100G一本の契約に切り替えることで約20%程度のコスト削減が可能だという。

提供エリアは、東京、大阪、名古屋、横浜、札幌、仙台、京都、神戸、広島、福岡などの全国主要都市で提供可能。

従来、こういった大容量のトラフィックはCDNを利用することが一般的だったが、100Gbpsサービスの登場によって大規模コンテンツプロバイダーはCDNとの比較が求められそうだ。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。