「隙間時間ビジネス」の時代に新しいテレビの視聴スタイルを提案する、KDDIの「TVダイジェスト」

移動中の信号の待ち時間や電車の待ち時間、料理を注文している間の待ち時間。世の中は今、この日常のちょっとした行動の合間に現れる「隙間時間」を利用して手軽に楽しめる、ソーシャルゲームやTwitterが大ヒットしています。「隙間時間」の活用が現在のビジネスの大きなチャンスを生み出します。

そんな「隙間時間」を活用する意欲的なサービスをKDDIが試験提供を開始しました。

 ・テレビダイジェスト
 http://lab.auone.jp/service/0018/index.php

「お金の奪いあい」以上に熾烈な「時間の奪い合い」

今の世の中にはコンテンツが溢れています。ゲーム、音楽、テレビ、インターネット。消費者の「嗜好の多様化」に応えるために、様々な手段で世の中のコンテンツ提供者は、私達に刺激を与えようとしています。

Youtubeを利用すれば、無料で音楽や動画が楽しめます。モバゲーやgreeに行けば「とりあえず」無料でゲームが楽しめます。リアルな人と交流したいなら、TwitterやFacebookに行けば無料で人の輪が作れます。テレビもラジオも無料で有益な情報を毎日提供してくれます。

私達は、様々な刺激をコンテンツ提供者から「無料」で受ける事が出来ています。そんな無料コンテンツが大量に溢れる時代。

今のコンテンツ提供者の制作現場では、「どうやって儲けるか?」を考える前に、「どうやって自分達のコンテンツのために時間を使って貰えるか?」を考えた方が成功すると言われています。

コンテンツの王様テレビの課題

そんなコンテンツ業界において、視聴者数、広告費で断トツのトップと言えば「テレビ」である事を疑う人は居ないでしょう。大流行しているTwitterではフォロワーが10万人居れば凄いと言われます。Ustreamに至っては視聴者が1000人も集まれば凄いと言われます。

もし、テレビの視聴率が1%と聞いたら、皆さんはどう思いますか?「誰も見てないんだな、この番組」ときっと思う事でしょう。
しかし、テレビの視聴率1%は全国で約100万人が視聴している事になります。如何にテレビという媒体の影響力が凄いか、おわかり頂けるのでは無いでしょうか。

しかし、そんなコンテンツの王様テレビにも、克服しなければならない課題が存在します。

視聴に時間がかかる「動画」という媒体

その課題とはテレビが動画であるという点です。動画である事によって「百聞は一見にしかず」の言葉通り、言葉で伝える事の難しい、景色や臨場感を伝える事が出来ます。

しかし、その反面、10分ある動画を全て見るためには10分必要です。早送り等を利用してもその半分の時間は必要になるでしょう。もし、テレビのニュースで一つのニュースに5分かけて報道していたとしたら、あなたがそのニュースをテレビで見ている間に、インターネットのニュースサイトで3個程ニュースを「読む」が出来るかもしれません。

動画は10分なら10分必要としますが、文字によるニュースや新聞では、その人の読書スピードや、不要な情報を見出し等から即座に判断し、読み飛ばすといった行為で、動画では10分必要だった内容を、1分にも2分にもする事が可能だという事です。

コンテンツが無料で楽しめるようになり、「熾烈な時間の奪い合い」が問題になっている現在のコンテンツ市場で、この動画の特性は長所でもあり、最大の欠点でもあるのです。

動画をもっとより短時間で楽しむための「要約コンテンツ生成技術」

今回、au one ラボが試験的に開始したサービスではテレビ放送の動画から自動的に字幕と、静止画を生成し、テレビ放送をパラパラ漫画に変換してくれるサービスです。

このサービスを利用する事で、通常一時間視聴に必要な番組が、15分程度で「読む」事が可能になります。また、携帯電話に番組をダウンロードする事が可能なため、「隙間時間」に視聴する事が可能です。

現在は、朝日放送のANNニュースのみの配信ですが、今後、商用サービスとして開始される場合には、より多くの番組が配信される事が期待されます。

ソーシャルメディアとの連携に期待

やはり視聴時間を短縮出来る事には大きなメリットがあると感じます。また、電車内で視聴する時にもイヤホン等が不要でニュースを観ることが可能な事も大きな特徴でしょう。また、自動的に静止画が生成されているので、スポーツニュース等も文字だけのニュースサイトと異なり、選手の活躍した瞬間等を文字と合わせて観る事が可能です。

今後商用化されれば、大いに利用価値はあるのでは無いかと感じます。

しかし、今後更に改善を検討されるならば、是非ソーシャルメディアとの連携も視野に入れて欲しいと感じます。
ダウンロードした番組に対してURL入で呟いたり、FacebookのLikeボタンを実装し、簡単にシェアする事が出来れば、モバイルとの相性は抜群だと思うので、サービス利用も伸びるのでは無いでしょうか。

まだ、試験中なので今後も商用化に向けて、ブラッシュアップされて行く事と思いますが、是非、ソーシャルメディアと連携し、「共感する喜び」も体感出来るサービスに進化して欲しいと思います。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。