アップル製スマートウォッチはジョブスのDNAが試されている

昨年末から現実味を帯びてきたアップルのスマートウォッチ。NY TimesのBits BlogWSJに書かれた記事が発端となり再び話題を呼んでいる。

曲がるガラス Corning Willow Glass

この記事のポイントは二つ。一つ目はガラス。

アップルのiPhone4等に採用されている強化ガラス「ゴリラガラス」の提供元でもあるコーニング社が、2012年6月に柔軟に曲がるガラス「Willow Glass」を開発したと発表した。

このWillow Glassを採用するのでは無いかとの予測。確かにコーニング社の資料によるとITOコーティング版のサンプルが2012Q4に提供可能となっている。この技術を採用したスマートウォッチが今年登場したとしても不思議では無い。
Willow_Glass_Spec

もう一つは、中国の tech.163.com による「アップル製スマートウォッチ」の噂。この記事には「あるサプライチェーンの話によれば、アップルは2013年前半にもBluetooth スマートウォッチを発売すべく開発を進めている。それにはOGSのガラスカバーと1.5インチの有機ELディスプレイを採用する」とした記事だった。

Forbes、まだスマートウォッチ市場は十分な規模に成長していない

この話題に対してForbesは「The Smartwatch Market Is Not Advanced Enough For An Apple iWatch」と題した記事でスマートウォッチ市場はまだ十分な規模になっていないとの見方を示した。

理由としては現在発売されているソニーのスマートウォッチや、Pebbleは革新的な技術を持っておらず、小さすぎるディスプレイ、バッテリー、ホスト装置とのBlutoothとの連携性などで、まだまだ課題が多いとしている。

市場を創る力が試されている

私としてはコーニング社の曲がるガラスを採用した腕を包むような「新しいデザイン」のスマートウォッチが登場しても不思議ではないと考えている。水面下で確実にウェアラブルコンピューティングの時代が切り開かれつつあると感じているし、実際すでにサムスンはCES2013で曲がるスマートフォンを披露している。

Forbesの見方も理解出来る。しかし、「新たな市場を開拓する」のがアップルの役割でもあると考えるのでアップルの力で「スマートウォッチ」という市場を開拓してほしいと願う部分はある。

そもそも、スマートフォンも携帯音楽プレイヤーもアップルが「最初」では無かった。先行するソニーやノキアといったプレイヤーがいたが爆発的に市場に認知されるまでに至っていなかった。そこに火を付けたのがアップルだった。

それはForbesの記者も十分理解しているだろうが、米国ではもはやアップルに「新たな市場を創造する力」が無いという認識が強くなっているのかもしれない。

私は、今年はアップルにとって山場になると見ている。テレビ、もしくはスマートウォッチで「新たな市場を創造」する動きをとるのか、それともiPhoneやApple TVのマイナーアップデートで終わり、株主に利益還元する安定企業へとシフトしていくのか。

アップルにとっての「スマートウォッチ」とはまだジョブスのDNAが健在なのか、それが試されているという点で重要なのではないだろうか。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。