通信業界トピック 2013年 第六週

さて、今週一週間の今後の通信業界の動きに影響を与えそうな動きを振り返ってみよう。米国ではスマートデバイス等の無線を必要とする機器の増加を巡って周波数再編の動き、対照的に欧州ではブロードバンドの予算をカットする動きがあった。

シスコ、2012年~2017年のトラフィックを予想

シスコが毎年恒例のVNIを発表。主要な項目をピックアップした。

2012年は、全世界のモバイルデータトラフィックが70%増加しました。全世界のモバイルデータトラフィックは、2011年末の1ヵ月あたり520ペタバイトから増加し、2012年末には1ヵ月あたり885ペタバイトに達しました。

2012年の全世界のモバイルデータトラフィックの合計の33%がWi-Fiまたはフェムトセルで固定ネットワークへオフロードされました。2012年は、毎月 429 ペタバイトのモバイルデータトラフィックが固定ネットワークへオフロードされました。オフロードが行われなければ、モバイルデータトラフィックは、2012年の70%増ではなく96%増になっていたと推定されます。

2012年、モバイルデバイスとモバイル接続の14%がIPv6に対応可能であったと推定されます。この推定値は、ネットワーク接続速度とOSの機能に基づくものです。

2017年までのモバイルネットワーク
 モバイル データ トラフィックは今後 5 年間に以下のようなマイルストーンを達成する見込みです。
 2013年には、モバイル接続されるデバイスの台数が世界の人口を超えます。
 2014年には、モバイルの平均接続速度が 1Mbpsを超えます。スマートフォンの利用が増加することにより、2013年には携帯端末がモバイルデータトラフィックの50%以上を占めます。
 2015年には、タブレットPCが全世界のモバイルデータトラフィックの10%以上を占めます。
 2017年には、モバイルタブレットPCのトラフィックが1エクサバイト/月を超えます。
 2017年には、全世界の月間モバイルデータトラフィックが10エクサバイトを超えます。

全世界のモバイルデータトラフィックは、2012年から2017年の間に13倍に増加する見込みです。2012年から2017年までのモバイル データトラフィックの年平均成長率(CAGR)は66%と予測され、トラフィック量は2017年までに11.2エクサバイト/月に達する見込みです。

2013年末までに、モバイル接続されるデバイスの台数が世界の人口を超え、2017年には1人あたりのモバイルデバイスの台数が約 1.4 台になる見込みです。2017年には、モバイル接続されるデバイス(Machine-to-Machine(M2M)モジュールを含む)が100億台を超え、同期の世界の人口(76億人)を上回ると予測されます。

EU高速ブロードバンドの予算をカット

ヨーロッパの予算削減の最初の標的となったのはルーラルエリア(農村部など)に対するブロードバンド配備の予算だった。このコスト削減の対象となったConnecting Europe Facility(CEF)には少なくとも70億ユーロ(93億8000万ドル)が高速インターネットインフラストラクチャーに使える予定だった。

米大手モバイルキャリア3社、政府との無線周波数帯共用計画を検討

FCC(米連邦通信委員会)、NTIA(米連邦通信情報管理局)らと、AT&T、ベライゾン・ワイアレス、T-モバイルの3社が1755MHz~1850MHzにまたがる3100以上の周波数帯に関する共有計画を明らかにした。

これらの周波数帯は、現在、米国防省や法執行機関等の政府機関が利用している。NTIAは昨年、国防省や他の政府機関の利用頻度が低い周波数帯を場所や時間帯を限定する形でモバイルオペレータに解放する案を明らかにしていた。スマートフォン等の民間でのデバイスの増加需要に対応する必要があるとの見方が強まっていた。

ドコモ、サムスン、スタートアップ支援を強化

ドコモはドコモ・イノベーションファンド、ドコモ・イノベーションビレッジの設立を発表。運用資金は100億円で運用期間は10年。500 Startupsと提携しグローバルに通用するサービス開発を目指す。

サムスン電子も1兆2000億ウォン(約1000億円)規模のベンチャーファンドを設立しシリコンバレーへ進出する。サムスンは設立の意図として「今後5年以内にビッグデータやクラウドなど、新しいITトレンドの中で、大きなチャンスと変化が予想される。2020年には世界に1200億個のデバイスが接続されている」との見解を示した。

新たな動画圧縮技術 HEVC(H.265)を巡る動きが活発に

2013年2月4日ドコモは、国際標準規格の新しい動画圧縮方式「HEVC(H.265)」を利用可能なソフトを、国内外の事業者向けに2013年3月中にライセンス提供すると発表。このソフトを利用すれば、スマートフォンでの動画サービスの高画質化や圧縮率の向上によるネットワーク負荷軽減につながる。

HEVC(High Efficiency Video Coding)とは、現在広く使われているMPEG-4(H.264) AVC方式の次世代規格。MPEG-4 AVCと比較して同品質の動画を約半分のデータ量に圧縮可能。ドコモによれば、フルHD(1920×1080ドット、30fps)の動画再生に必要な通信速度がMPEG-4 AVCでは3200kbpsから1500kbpsになるという。

一方、KDDIではCATVが対象だが「8K映像の高圧縮技術」をデモ。「HEVC」に比べても12~13%圧縮率が向上しているという。今後ビデオトラフィックはますます増加すると考えられているが、高圧縮技術がこれからの通信事業者のコスト削減競争に寄与するかもしれない。

KDDI、1500人採用 中小企業のスマホ利用開拓

KDDIが2015年度末までに1500人を採用し、中小企業向け営業を強化すると発表。従来の回線提供のビジネスモデルからスマートフォンやクラウドを活用した包括的なソリューション提供へ向かう。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。