サイバーエリアリサーチ、日米間でIPv4アドレスの移転を実現

日本では、2011年4月15日にIPv4アドレスの通常割り振りが終了し、IPv4アドレスの在庫が枯渇した。一方、IPv4アドレスに対するニーズは衰えず現在も継続している。クラウドコンピューティングやデータセンタ、コンテンツ事業者などは、新規IPv4アドレスの確保が事業拡大の制約条件になっている。

IPv6への移行も世界レベルではゆるやかに進行しているが、日本国内ではIPv4需要も根強く残っている。

そんな中、余剰アドレスや未使用アドレスを有する組織から、アドレスを必要とする組織にIPv4アドレスの「移転」を行えるように制度変更が行われていた。このIPv4アドレス移転を実施する企業にサイバーエリアリサーチ社がある。

同社は2011年10月よりIPアドレスの移転を仲介する日本唯一のサービス「IP移転」を運営している。既に10件を超える移転実績が同社にはあるという。

Inter-RIR IPv4アドレス移転を日本で初めて実現

従来まで同一RIR内、例えばアジア圏内、欧州圏内といった同一地域内のIPv4アドレス移転は許可されていた。しかし、RIRをまたぐIPv4アドレス移転は認められていなかった。2012年7月に地域を越えたアドレス移転を可能にする制度変更が行われた。

この変更に伴い、サイバーエリアリサーチは、世界最大規模のIPアドレス移転事業者IPv4 Market Groupと協業し、北米地域から日本へ地域を越えたIPアドレス移転を実現した。

今回、サイバーエリアリサーチにIPv4アドレス移転ビジネスの現状をうかがった。

Q1 アドレス移転に対するニーズは高まっていると感じますか?
問い合わせ件数自体は増加傾向にあります。
面白いことに、昨年の秋ぐらいまでは「今すぐ欲しい」という方が多かったのですが、年末ぐらいからは「少し先に必要になりそう」な方に問い合わせが変わってきました。だんだん、手元が心もとなくなってきた方が増えてきたのかも知れません。

Q2 アドレス移転は何ブロック単位で行われるのでしょうか?
今のところの取引実績は/20より大きなブロックです。需要としては/21からあります。

Q3 アドレス移転の価格は?
最近は1IPあたり1,000円~1,200円程度で取引が行われています。

Q4 移転が行われるとJPNIC等RIRへの登記変更は行われるのでしょうか?
はい、今回行ったのはARIN-APNIC間移転なのですが、移転後、APNICのwhoisからも確認出来るようになりました。

Q5 北米以外の地域との移転は可能なのか?
現時点でのInter-RIR間移転はARIN-APNIC間のみです。
ただ、RIPE ECCが2012年9月14日に枯渇しましたので、今後、Inter-RIR移転が可能となる地域は広がるのではないかと思います。

IPv4アドレス枯渇対策の選択肢が広がった

今回、Inter-RIR間のIPv4アドレス移転が実現したことで、IPv4アドレス枯渇対策の現実的な選択肢が一つ追加されたことになる。IPv4アドレスの割り当て状況は、米国は人口1人あたり約4.9個、合計約15.4億個が割り当てられているのに対し、日本では1人あたり約1.6個、合計約2億個の割り当てとなっていた。

そもそもの割り当て数が少ない日本地域だけではIPv4アドレスの供給力に問題があったが北米のIPv4アドレスを利用出来るようになったことで、アドレス移転を検討する組織も増えるかもしれない。

IPv4アドレスの延命策としては、CGNを利用したソリューションが一般的であったがCGNの導入費とIPv4アドレス移転費用を天秤にかける組織が今後増えそうだ。

問い合わせ先
サイバーエリアリサーチ株式会社 IP移転担当:風間
TEL:055-991-5544 /FAX:055-991-5540
Email:info@arearesearch.co.jp



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。