訪れる価値ある空間 サグラダ・ファミリア

「サグラダ・ファミリア」。1882年3月19日に着工を開始し131年が経過した現在もなお建設中の教会。アントニ・ガウディのライフワークとしても知られている。バルセロナの代表的な建造物であり2005年に世界遺産として認定された。

サグラダファミリア 看板MWC開催地がバルセロナだったこともあり、サグラダ・ファミリアを訪れてみた。サグラダ・ファミリアへは電車を使うと便利だ。「Temple Expiatori de La Sagrada Família」という駅を出ると目の前に「サグラダ・ファミリア」が現れる。

突如現れるので期待で胸を膨らませる暇もなく、歴史的建造物を目にすることになる。あまりにあっけない登場に「えっ、これがそうなの?」と思ってしまう。

「これがそうなの?」とあっけにとられる理由は「自分の中の常識」から余りに逸脱しているからだ。100年以上も建築が続く世界遺産と聞いていれば、最寄駅から徒歩30分位は歩き、文明から少し離れた「切り取られた歴史」と遭遇するような場面を想像していた。しかし、本当に駅の目の前にあり、市街地の中心に位置している。少し自分の想像する「歴史的な建物」とは立地の面では大きく他と異なっていた。

SagradaFamília

暫くするとその凄さが脳に伝わってくる。ビルやマンションが立ち並ぶ市街地でここだけ「ディティール」のレベルが明らかに異なっている。断っておくがバルセロナの建物はどれも趣があって日本のビルのように利便性を追求した簡素な作りになっていない。どれもが個性的で建物一つ一つがアートと言って良い。しかし、それでもサグラダ・ファミリアの周辺ではサグラダ・ファミリアの引き立て役になってしまっていた。信じられない細かさのサグラダ・ファミリア

この精巧な建物は、まだ建造中なので至る所が工事中になっており、高い完成度の彫刻と工事中のクレーンが混在する奇妙な空間になっている。
SagradaFamília 工事中

情熱と継続の素晴らしさ

入場するためには平日の昼間でも長蛇の列ができており入場に30分ほど、エレベータを使って展望台に上るには更に30分ほどの待ち時間を必要とする。時間が無かったで展望台に上ることは諦め、教会内を散策することにした。

教会の中に一歩足を踏み入れるとそこには今まで見たことも無い空間が広がっていた。私は普段物静かな方なので滅多に感情を口に出すことは無いのだが、無意識に「すごい」と口走っていた。巨大な柱が何本も並び天井高くへと続いている。一体天井までは何メートルあるのだろう?サグラダ・ファミリアには何本かの塔があり完成時には最大172mに到達するそうだ。合理性を追求する日本や米国ではこれだけの高さがある建物なら、きっと階層仕立てにしただろう。

サグラダファミリア教会の柱

そんなことを考えながら柱の先に視線を移すと、アーチ型の天井の美しさに息を呑む。
サグラダファミリア天井

ステンドグラスから注ぐ日光はサグラダファミリア内部を幻想的な空間に演出する。
サグラダファミリア ステンドグラス

サグラダファミリア内部

テクノロジーが発達し、利便性が高まることで、物事の進む速度は速くなり、一年が一ヶ月に、一ヶ月は一時間に、一時間は一分のように、何もかもが移りかっていく。そんな時代にあって、人間が100年以上にわたり一つのことに情熱を傾けることの素晴らしさをサグラダ・ファミリアは教えてくれた。

旅することの価値を教えてくれた

サクラダ・ファミリを一歩進む毎に写真をとっていたが、やがてその行為が虚しいものだと感じるようになった。写真の一枚、一枚は建物の全貌、彫刻のディティールを記録することは出来るが、それらを、どれほど写真に収めようとしてもこの「空間」を伝えることは出来ないのだ。

視界に収まりきらない柱、ステンドグラスから差し込む七色の日光、多くの人が訪れているにも関わらずイエスの前に「静粛」を保つ人々。

インターネットが発達し、掌一つで全ての場所へ訪れることも、体験したような「気分」に浸ることが出来るようになった現代。建物を見るために旅に出るという感覚は古いものだと思っていた。しかし、サグラダ・ファミリアは「その場所」に訪れた者にしか伝わらない、感じられない物があることを教えてくれた。

もし私のように「旅」をすることに「意義」を感じられない人が居るならば、一度サグラダ・ファミリアに訪れてみるといいだろう。五感で感じるべき空間があるということを知るきっかけになるだろう。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。