2010年は電子書籍リーダ元年。5年後にはサラリーマンの必須アイテムになる

半年程前から、周囲の人間に熱く語っていて、失笑をかっていたのですが、本気で思っています。それを裏付けるニュースが米国では出てきており、今年は国内でも電子書籍リーダに注目が集まってくると推測しています。

【参考ニュース】
Amazon、Kindle向け電子書籍販売がリアル書籍を超えたと発表

電子書籍が数年内にヒット商品になる。米国では現実の物になっていますが、国内ではまだまだ、半信半疑に感じている方も多いようです。しかし、私は幾つかの理由から、電子書籍は日本国内でもブレイクすると考えています。そして、その兆しは今年表れるであろうと考えています。

何故電子書籍か?

鞄スペース争い
一日は24時間であり、この時間を変えることは誰にも出来ません。そして娯楽産業は様々な産業とこの24時間という時間を奪い合っていると考える事が出きます。書籍においても同じです。携帯電話や携帯ゲーム機とこの24時間を争っています。そして、多くは負けているというのが実情だと考えられます。携帯ゲームやSNSの方が楽しいというのも理由の一つだと思いますが、書籍の欠点として、紙媒体であり、重くて鞄のスペースを奪うという問題があります。時間と同じで、鞄のスペースにも限りがあります。携帯ゲーム機であれば、筆箱一つのスペースがあれば複数のゲームを持ち歩く事が可能です。しかし、書籍ではそういうわけには行きません。複数の書籍を持ち歩くには、重さとスペースを相当必要とします。電子書籍Kindleでは約1500冊を持ち歩く事が出来ると言われており、このスペース問題を解消してくれます。

利便性
amazonで手軽に購入出来るようになつた書籍ですが、それでも注文して届くまでにはタイムラグがあります。電子書籍リーダであれば、手元で毎日、新しい雑誌や新聞を、ネットの繋がる環境であれば、いつでも購読する事が可能になります。

検索性
書籍の巻末に「索引」が付いているのは、当然語句の検索性を向上させるためですが、こればかりは一瞬で検索出来る、電子書籍に叶わないでしょう。私も書籍の索引を作成した事がありますが、紙媒体では紙面の都合もあり、そもそも全単語を索引化するのは不可能です。そして、電子書籍がネット接続されている事が前提なら、URL等のリンクに対してもクリック一つで、別のニュース記事や参考文献にもアクセスする事が可能になります。検索性は電子書籍で大きく拡張されると言っていいでしょう。

環境意識の高まり
世界中で環境問題に注目が集まっており、エコ意識が高まれば、消費者の間にも、紙媒体の刊行物より、電子書籍による配布を希望する声が高まってくるでしょう。民主党マニュフェストでも掲げられているCO2 25%削減のためにも、必要な施策になるかもしれません。

2012年以降はマルチメディア機能が搭載される

将来的には携帯電話同様に、サラリーマンの鞄の中には、携帯電話と、電子書籍リーダの二つが必須アイテムになると予想しています。そうなった時、あるいはそうなる兆しが見えた時に、電子書籍リーダは次のステージへ進化するでしょう。その時期はLTEが開始される2012年前後になると推測しています。

この予想を図示した物がこちらになります。
e-Book

現在では、メール、ボイスレコーダ、テレビ、ゲームと何でもこなす携帯電話ですが、本質は「電話」であり、その本質と携帯性のため、携帯電話の多機能化は進んでも、形状は大きくなっていません。むしろ、年代がススムにつれ、薄く軽く小さくなる傾向があります。

しかし、LTEが導入され、回線が太くなっても、この「小さい」携帯電話の画面で動画を視聴したいと考えるでしょうか?確かに、モバイル動画コンテンツは増加傾向にありますが、LTEの力を出し切る程、高画質な動画、映画コンテンツともなれば、もう少し大きい画面で見たくなるというのが消費者の本音では無いでしょうか?

その点、電子書籍リーダは、LTE時代の動画コンテンツを視聴するために、最適なデバイスと言えるのではないでしょうか?スマートフォンよりも大きな画面で、通信機能と決済機能を備えている。通信事業者にとっても、LTEの帯域を活かすキラーコンテンツの開発に頭を悩ませています。電子書籍リーダが動画コンテンツの視聴デバイスとして普及すれば、家庭内のどこでも持ち運べる携帯テレビとしての利用や、新幹線内での動画視聴等、新たな楽しみ方を今まで以上に提供する事が可能になるでしょう。

電子書籍がブレークするために必要な事

出版社の理解
出版社の方々と時折話す機会がありますが、皆さん、電子書籍に戦々恐々とされています。自分たちの仕事がなくなるのではないかと。しかし、対応の遅れは、自分たちの寿命を縮めるだけだと、私は説得します。

時代の流れからいって、全世界的な電子書籍への流れは変わらないでしょう。

そういった流れに、コンテンツの配布権を武器に電子書籍へのコンテンツ提供を拒むだけでは、日本という国が世界から遅れを成すし、自分たちが抵抗した処で、膨大な印税を武器に、強力な海外のパブリッシャーと有力な著者が契約を結べば有力コンテンツは次第に電子書籍の元へ集まっていくでしょう。

法や権力で「新しい技術」に抵抗しても、「市場ニーズ」に逆らっては、アメリカのGMがそうだったように、いずれその産業は衰退するでしょう。

出版社の取るべき施策

出版は電子で、注文があれば印刷へという意識の変革
コンテンツの形が変わるだけであって、出版というビジネスそのものが無くなるわけではというように考えるべきです。コンテンツの形は電子媒体での流通が当たり前になる。こま流れは音楽というコンテンツがCDからストリーミングへ媒体は変化しましたが、音楽というコンテンツそのものは変化していない事を認識すべきです。

出版社には文章を編集する、著者を育てる、プロモーションを行うという紙から電子に代わっても変わらない「技術」が存在します。それを活かして、時代の変化に対応すべきでしょう。

そして、例え電子化されたとしても、紙に製本して読みたいというニーズも無くなる事はないでしょう。紙の質感や、一覧性は電子書籍の苦手とする分野です。こういったニーズに答えるために、コンビニエンスストア等で、希望の電子書籍を製本化する自動販売機のようなサービスを展開していくべきではないでしょう。

個人出版の支援
電子書籍Kindleでの出版は、著者に対して35%もの印税が支払われます。これは紙媒体の印税の3~5倍程度の額となります。また、出版にあたって特に資格等は不要であり、簡単な手続きさえ済ませれば誰でも出版する事が可能になります。この事から、Kindleが日本国内でも普及すれば、個人の出版ブームが起きると予想されます。

しかし、例え、電子書籍になったといっても、素人が書いた文章は読みづらい物が大半となるでしょう。私は一冊につき5~10万円程度で編集を行うというビジネスが登場すると予想しています。素人が作った文章を校正し、電子書籍用のレイアウトに変更するといったビジネスを、現在の編集のスキルを活かして実現すべきでしょう。

文章を書ける著者の囲い込み
個人での出版が簡単になり、自費出版のような多額の費用を掛けずに、文章能力のある著書は自分で出版する道を選ぶでしょう。出版社と協力して有望なタイトルを手がけて貰えるよう、有望な著者との人間関係を大切にしておくべきでしょう。

まとめ
・2015年にはサラーりマンの鞄の中には、携帯電話と電子書籍が入っている。
 - 携帯電話(スマートフォン)で音声、メール、ナビゲーション、ゲームを楽しむ
 - 電子書籍リーダで新聞、雑誌、書籍、マルチメディアコンテンツを楽しむ



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。