メディア化する企業 外資系と国内企業のソーシャルメディア活用の違い

先日開催された日本オラクル主催のOracle CloudWorldの参加者は2700名を越えたという。一企業のイベントがちょっとしたコンサート並みの集客力を持ち出している。

オラクルのイベントではソーシャルメディア活用方法にも関心させられた。当たり前のことをきちんと実践している。

①Twitterでのアクティブサポート
Oracle CloudWorldについてTwitterで呟いている人がいるとフォローをいれていた。何でもかんでも絡むというわけではなく、イベント登録方法などでつまづいている人がいたらサポートするという利用方法だ。基本中の基本のように感じるが既に「屍の山」となっている日本の公式Twitterアカウントでは、Twitter上で自社に関する呟きがあっても放置するのが当たり前になってきているので、ユーザにとっては嬉しいサポートだろう。

②来場者の写真とコメントを掲載
Oracle JapanのFacebookページには、今回の参加者の写真や感想が掲載されている(ユーザが勝手に投稿したものでは無い)。ソーシャルメディアはユーザ同士の対話の場と考えれば、自社の宣伝をひたすら投稿するより、ユーザに登場してもらった方がフィードに流れてきた時の反応も変わってくるだろう。

③ブロガーもプレスと同様の扱い
これについては有名媒体の人間には面白くないかもしれない。今回私もブロガーとしてお誘い頂いたのだが、イベント会場の座席には「プレス、ブロガー、アナリスト」と張られた座席のどこに座っても良いようになっていた。そもそも日本の大手メーカ主催のイベントでは「プレス」は呼ばれてもブロガーが招待されることは珍しい。

しかし、そういった態度には疑問を感じることもあった。プレスの媒体をどれだけIT系のエンジニアが目を通しているだろう、決裁権を持ったマネジメント層であっても疑問を感じる。IT系の情報チェックにはウェブ系の媒体やブロガーの記事をチェックしている頻度の方が多いように感じるからだ。

オラクルのプレスもブロガーも同列に扱う姿勢は、発行部数だけを意識しているのではなく、伝えるべき相手に伝える手段をきちんと考えていると感じた。

これは、ある国内のメディア関係者の人と話していて聞いた話なのだが、日本のソーシャルメディア活用が進まない理由の一つに企業の広報部の怠慢があると言う。もちろん広報部の仕事はプロモーションだけでは無いが、プロモーションという観点に限っていえば「売り上げに結びつける義務はない」のが殆どだ。掲載媒体の発行部数等を基準として「どの程度の人にリーチ出来たか」を成果として報告することが多いため、発行部数の多い媒体へ発注するだけであって、「売り上げ」に結びついたかは別の話であり、わざわざ「売り上げ」を指標として自分の首を絞めるような真似は望まないというのだ。従ってリーチの割りに手間のかかるソーシャルメディアの活用は、前向きでは無いというのが本音なのだという。

これがどの程度の日本企業の広報部にあてはまるのかはわからないが、言われてみれば確かにそうかもと思う点はある。わざわざ自分のMBOの目標点を上げる人間は居ないからだ。

ソーシャルメディアの活用が上手な外資系企業

オラクルに限らずだが、IBM等も社員ブログやブロガー向け勉強会等も定期的に開催しており、外資系企業は自ら率先してソーシャルメディア上のチャネルを築き出している。日本企業はキャンペーンを開催し「いいね」を獲得するのに夢中になっている。

EMC等は自社の調査資料をInfographics化するだけでなく、ブロガーがShareしやすいように「EMBED CODE」まで提供している。日本企業は「シェアしてください」と盛んに叫ぶが「シェアしやすいように配慮」している企業を見たことが無い。

表面上の獲得しやすい数値だけを追う日本企業と、「成果」を求める外資系企業。その差は確実に拡がっている。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。