日本人の労働に対する満足度は72.4%

先日インタビューを行っていると、取材先でこんなことを言われた。「大元さんは、もっと評価して貰える会社へ移るべきではないか?」。なかなか胸にささる言葉だった。本業と、執筆などで求められる能力は異なるものだし、正直なところ、インタビューや、世の中の知見をまとめて、記事や書籍といった一つのアウトプットを産み出す仕事に面白みを感じている。むしろ生き甲斐にしたい思っている位だ。私にとって「ジャーナリスト」業は寝る暇も惜しんで夢中になれる「やりたい」仕事だ。

本業については、若い人の夢をそぐかもしれないが、私は「やりたいことと、やるべきこと」は違うと思っている。本業は「やるべきこと」だと考えている。本業として選択している仕事は「ライスワーク」だ。ここに楽しみを追い求めてはいない。仕事なので与えられたミッションをこなすことが大切だと思っている。

理想的には「やりたいことと、やるべきこと」が一致していれば、これほど楽しいことは無いだろう。しかし、両方を一致させ続けることは難しいのではないかと思う。ここに、OECDのデータに「仕事に対する満足度」を調査したデータがある。これを見ると日本人の「仕事」に対する満足感はOECD平均よりも低い。そう、口ではみんななんだかんだ言いながら「飯を食うために働いている」というのが実態なのだ。

OECD 2009 : Society at a Glance

やりたいことと、職業選択のミスマッチ

こういった「やりたいことと、職業のミスマッチ」は雇用の流動性も一つの要素にあるのではないかと思う。日本は雇用保護が他国より厳しい一方で、企業は従業員を解雇出来ないし雇用には慎重になる。従業員側もそれを理解しているから、わざわざ「やりたいこと」を優先して転職を繰り返す人は少数派だ。

つまり、日本は一度就職してしまえば「やるべきこと」をきちんとやっていれば一方的に解雇されることはまれだ。(リストラなどを除いて)ネット世論では終身雇用崩壊が叫ばれるが、そうはいっても10年、20年といった期間なら大手企業に勤めていると「安心感」はある。

二階建て理論

本質的には「本業がやりたいことと一致している」ことがベストだと思っている。

サイボウズには「フェロー」という制度があり「フェロー」に認定されれば、グループウェアを普及するという名目の元、就業時間内にブログを書く、セミナーに参加する、インタビューに出かけるなど自由に行っていいそうだ。現在サイボウズには二名「フェロー」として任命されているという。私も本職のほうで、そういったエバンジェリスト的な仕事が「職務」として認められるなら、一番ベストだと思うが、なかなか今の会社にそれを求めるのは厳しい。

とはいえ「やりたいこと」を我慢しつづけるのは、人生を損しているとは思う。そこで私は仕事に対しては「二階建て理論」だと考えている。「やりたいこと」は家の二階部分に該当する。「やるべきこと」は一階部分だ。「やりたいこと」が二階だとするなら、一階部分の「やるべきこと」がしっかり建築されていないと二階を建てることは出来ない。

雇用の流動性が高まれば、「やりたいことと、やるべきこと」が一致する人が増えるのかもしれない。「労働力」ではなく「クリエイティブ」を求めるのなら「やりたいこと、やるべきこと」が一致している方が良いパフォーマンスが出るだろう。雇用の流動性確保の問題は、イノベーションの時代の競争力にも関わってくるかもしれない。雇用契約に基づいて渋々働いている人たちに「WoW」を創造することは出来るだろうか。日本の競争力低下の要因には「労働に対する満足感」も影響しているのではないだろうか。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。