新興国時代のスマートデバイス市場の勝者はアップルでもサムスンでも無くホワイトボックス

AndroidとiOS。説明するまでも無く現在スマートデバイスの主流となっているOSである。この二陣営のスマートデバイス製造メーカ代表格はサムスンとアップル。どちらの端末が世界を魅了し、覇権を握っていくのか注目している人は多い。

しかし、先進国へのスマートデバイス供給の需要はほぼ一巡しつつあり、欲しい人には既に行き渡り、買い替え需要が今後の購買動機へシフトしていく。新規端末購入が伸びるのは新興国へと舞台が急速にシフトしつつある。新興国市場で覇権を握るのは、低価格端末も手がけるサムスンなのか?アップルも低価格機を販売し新興国市場を開拓するのか?市場には様々な見方や噂がある。

ノーブランドメーカ「ホワイトボックス」の台頭

しかし、新興国市場で成長するのは残念ながらその二社では無いかもしれない。2012年以降急速にシェアを拡大する「ブランド」が存在する、ノーブランドのスマートデバイス「ホワイトボックス」達だ。

ホワイトボックスとは、マザーボードやCPUといった素材を集めて、それらを組み立て完成品を「独自のブランド」として販売する手法であり、古くから存在していた。ノーブランドの完成品を、独自のブランド名称で販売するパターンもある。パソコンの世界では珍しくなかったが、近年スマートデバイスの分野でも台湾のMediaTekが、スマートデバイス用ICチップを発売したのがきっかけで、これを利用して「ホワイトボックス・スマートデバイス」が大量に生産されているという。

アンドロイド市場は拡大するも、サムスンは伸び悩み

WhiteBoxの成長が著しいFORTUNE Techに掲載されたグラフがこの現象を非常にわかりやすくしている。

アンドロイドは2010年3月から頭一つ飛び出し始めた。その勢いに乗じるようにサムスンが2010年1月から急速にシェアを拡大し、この勢いは2012年1月まで続いている。だが、サムスンのシェア拡大の勢いはここをピークに横ばいが続いている。

しかし、アンドロイドのシェアに目をやると2012年1月以降も拡大の勢いは衰えていない。2012年1月以降、頭角を現しだした一群が存在する、それがこのグラフの中で「Others」と表記された「ホワイトボックス」達だ。サムスンのシェアが40%~45%で横ばいになる中で、ホワイトボックスは急速にシェアを伸ばし30%に迫ろうとしている。今やアンドロイド市場はサムスンと「ホワイトボックス」の二強状態となっている。

ホワイトボックスの動きには注目

ホワイトボックス製のスマートデバイスを購入する層は「安い」ことが一番であり、OSにこだわる傾向には無い(先進国でもOSを意識している層は僅かだと思うが)。購入の決め手は電話と簡単なメールのやりとりが出来る連絡手段の確保であり、それが出来て安ければそれを購入する。

ホワイトボックスを製造しているメーカがアンドロイドを選択する理由もライセンス価格が安いことが理由であり、製造コストを下げることが出来るからだ。つまり作っている側も購入する側も「OS」にこだわりがあるわけでは無いという構造がある。しかし、その数は大きく既に一市場を形成する力を持っている。

もし、ホワイトボックス陣営が同じくライセンスコストが無料のFireFox OSを採用すればどうなるか?新興国を中心としてシェアを拡大する可能性もありそうだ。もっともホワイトボックス陣営はアンドロイド端末製造のノウハウも蓄積されてきていると思うのでFireFoxに手を出す理由も無いかもしれないが、ホワイトボックスの動き次第では新興国のシェアに影響を与えるかもしれないという点においては、動向に注視しておく必要はあるだろう。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。