ドコモ、通信モジュール、携帯電話共に純減。ブランド力低下の兆候

2013年7月5日、TCAが6月末の事業者別携帯電話加入者数を発表した。

純増一位はソフトバンク、MNP一位はauという大筋の傾向は変わらない。

全体 474,400 133,291,300
純増
 一位 ソフトバンク 248,100 33,290,000
 二位 au 232,200 38,378,100
 三位 NTTドコモ -5,900 61,623,200

MNP
 一位 au 85,300
 二位 ソフトバンク 59,900
 三位 ドコモ -146,900

通信モジュール効果

鳴り物入りで投入したソニーの「エクスペリアA」と韓国・サムスン電子の「ギャラクシーS4」の「ドコモのツートップ」を持ってしても、五ヶ月ぶりの純減に転落したドコモ。メディアは盛んに「ツートップの失敗」と煽っている。しかし、通信モジュールを見てみると、実はドコモは六月-7,700の純減となっていた。

通信モジュール数
 一位 ソフトバンク 76,800
 二位 au 8,100
 三位 NTTドコモ -7,700

2013年1月以降ドコモは通信モジュールを2万~8万台販売していた。これによって携帯電話純増数をかさ上げしていたので、六月末はこの援護がなかったため加入者数が純減へと転じてしまっている。単純に「ツートップの力不足」と言い切ってしまうのはいささか語弊があるように思う。実際、2013年7月4日付の産経新聞によれば、「ツートップ」の6月末の販売台数は合計120万台超に達している。これは十分健闘した数字だ。

ソフトバンクの数値にも注意しなければならない。携帯電話純増数はソフトバンクとauで約一万台の差しかないが、ソフトバンクとauの通信モジュール販売台数は10倍近い差となっている。ソフトバンクの携帯電話純増数から通信モジュール増加数を差し引くと171,300となり、回線品質向上を訴えるソフトバンクだが、肝心の「iPhoneの神通力」が落ちてきたのではないか、そんな兆候を感じさせる数値となっている。

iPhone導入しても、ドコモの状況は変わらない

携帯電話加入者数、通信モジュール両方が純減する結果となったドコモ。通信モジュールはBtoBに利用される傾向が多い。つまり、iPhoneの有無が問題なのではなく、ドコモ全体のブランド力低下が「弱さ」の背景にあるのではないだろうか。

そして、iPhoneを主力に構え、通信モジュール数によるかさ上げが目立つようになってきたソフトバンク。BtoC、BtoB双方に対するブランド力低下と、iPhoneの販売数低下という二つの兆候。まだ「はっきりとした実感」とまで言い切るには暫く経過を見る必要はあるが、少なくとも二年前の「iPhoneを採用すれば風向きが変わる」という「単純」な状況では無いように、筆者は感じる。それでもメディアは「PVが稼げる」ので、「ドコモiPhone採用か!?」という見出しをあと何回かは使ってくるだろうが…。

TizenOSの開発中止も流れており、ドコモの携帯電話事業は抜本的な改革を求められているのではないだろうか。



この記事のタグ: ,


関連する記事

  • MWC2013 グローバルにM2Mパートナを求めるドコモ

  • ドコモまた純減 2013年1月 携帯電話契約数

  • 2012年ドコモのMNP転出超過数は-131万3200件で一人負け

  • 不発に終わったドコモの冬モデル


  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。