自国民がクールと思わないのに、海外ではクールと思われるのか?

2013年7月8日、経済産業省HPに株式会社海外需要開拓支援機構(クール ・ジャパン法)成立の報告が掲載された。同時に公開されたクールジャパン法解説ビデオが話題を呼んでいる。ネット上の評判を軽くみてみた所、大半が「どこがクールかわからない」「エヴァを政治の道具に使うな」「誰に向けた動画かわからない」といった不安視する声が多く、賞賛している声は見つけることが出来なかった。

そこまで、ヒドイのかと期待値を下げて視聴したが、ネットの声にも頷ける。少なくとも「クール」では無い。そもそも「クール・ジャパンとはカッコいい日本です」と「日本人に向けて」日本のカッコよさを説明しなければならない時点で、外国から見て「クール」に見えるのか疑問だ。

クールジャパンについては、秋元靖氏が「クリエイターに無料で奉仕して貰おう」と発言したことで批判を浴び、この時私も「自分達が対価を払う価値が無い物に、海外のファンは対価を払うのか?」という記事を書き大きな反響を呼んだ。

今回もまるでデジャブのように「自国民がクールと思わないセンスを、海外ではクールと思われるのか?」という言葉が頭をよぎった。この政策の必要性や設立された背景には賛同するが、手法には常々疑問を感じる。

日本には脂身の少なく柔らかくて美味しい肉があり、新鮮な魚、四季を彩る懐石料理などクールな食べ物はたくさんあるにも関わらず、B級料理を「クールジャパン」と売り出そうとしている。

世界を夢中にさせる技術がある

世界を感動させる音楽がある

世界に通じるエンターティメントがある

世界に誇る文化がある

ネットを少し探せば「クール・ジャパン」は溢れる様に現れる。にも関わらず、日本人でさえ「それってクールなの?」と感じるものを送り出そうとしているように見えて仕方が無い。クリエイティブやコンテンツの選別は民間にまかせ、政府はコンテンツの配信や、法制度の整備、海賊版対策、人材育成といったインフラの整備に尽力すべきではないか。

政府が推進するクールジャパンには国のブランドが影響されることを忘れないでほしい。多くの企業によって培われた、緻密で品質が高く、安全性に優れたクールな製品を作る日本というブランドが、チープ・ジャパンと呼ばれる日が来ないことを祈りたい。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。