プロバイダーの団体ではわかりにくい。遠ざかるプロバイダーと生活者の距離

NHKの記事によると、インターネットによるネット選挙運動が解禁され一週間が過ぎ、当初懸念されたなりすましによる大きな被害も発生することなく、順調に進んでいるようだ。

ネット選挙解禁後の混乱について報じたNHKの記事だが、私が興味深く感じたのは、下記の一文だ。

ブログの運営会社などおよそ160社で作る、日本インターネットプロバイダー協会の渡辺武経会長は、「これから投票日に向けて選挙戦が盛り上がると、ひぼう中傷が増えることも考えられる。

日本インターネットプロパイダ協会とはISP等で構成される協会だ。しかし、なぜか「ブログの運営会社」と紹介されてしまっている。関係者の話によればNHK側から「プロパイダの団体ではわかりにくい」と指摘され、「ブログの運営会社」という表記になったという。

ほんの十年前、2002、3年頃は、まだ誰もがブロードバンドという時代が訪れる前、インターネットを接続するにはISDNという人もまだ居ただろう。その頃インターネットに接続するには「インターネット接続事業者」である「インターネットプロバイダー」を大半の人は意識していた筈だ。ニフティにしようか、ビッグローブにしようかと回線速度や料金といった契約内容を吟味してインターネットを利用していた時代、生活者にとってインターネットプロバイダーは身近な存在だったのではないだろうか。

パソコンの時代にはインターネットは接続する物だった。しかし、スマートフォンの時代になり生活者から「インターネットは持ち歩く物」へと変わった。その接続を支えている「プロパイダ」を生活者が意識することは無くなり、ブログ等のサービス名の方が身近な物へと変化した。

ISPの方々と話していると「ISPの存在が希薄になっている」と危惧する人は多い。勿論生活者から見えないだけであってISPはインターネットには欠かせない存在であることに違いない。しかし、接続事業以外にもサービス事業の収益向上を考えるならブランド認知度は重要になる。

生活者からブランド認知が消え去る前に、プロパイダはサービスによって生活者と接触し新たな関係性を築く必要性があるのではないだろうか。



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プロフィール

大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。