NHK 仕事ハッケン伝に学ぶ ファンを意識した番組作り

私テレビ見ないんですよね、と常々言っているにも関わらず、番組収録見学会にお誘い頂いてから、見るようになったNHKの仕事ハッケン伝。

「テレビ見ない」という人間に、わざわざ見せつけようとする位だから、番組の質には自信があったのだろう、確かに面白い。純粋にこの番組が「好きだ」という人も多いのでは無いだろうか。

番組の裏側を伝えるためのブログ活用

そんな仕事ハッケン伝だが、ソーシャルメディアの活用も頑張っている。まず、番組ポータルサイトだが、これは番組内容の紹介、次回内容の告知など極一般的な作りとなっている。個人的に気に入っているのがブログだ。

よくありがちな芸能人が登場して他愛も無い感想や「番組みてくださいねー」といった番宣目的の記事ではなく、「番組作り」の裏側が垣間見ることが出来る。

始めて番組収録にお邪魔した時、番組作りの現場では大勢の人が少しでも良い番組になるように、様々なアイデアを出し合い、撮りなおしもあれば、本当に時間と手間をかけて作っていることを知った。なによりそこに登場する芸能人の方々が本当に「魅力のある人」だと感じた。しかし、これがブラウン管を隔ててしまうと、「ミスの無い番組」であるがゆえに全てが嘘に感じてしまうし、芸能人も全てが演技のように感じてしまう。テレビ自体についたイメージが、全てを白けさしてしまう、そんな風に感じていた。

ソーシャルメディアは、この「嘘くささ」を排除出来る所に可能性があるのではないかと思うが、ハッケン伝のブログは「番組作りの裏側」を見せることで、ブラウン管からは伝わらない「何か」を伝えようとしている。

肉声で語りかけるライブ

Facebookページを見ていると、大学生を対象としたイベント等も開催しているようだ。番組でMCを努める中山秀さんもコメントをしたりしている。ソーシャルメディアがテレビより「感情を伝えやすい」とはいえ、生身の人間が語る言葉には叶わない。伝えられる人数は限られているとはいえ、テレビでは伝わらないものが、きっと伝わったのではないかと思う。

広告主ではなく、視聴者、ファンを意識した番組作り

テレビ業界の人と話をしていると、4Kや8K、多コンテンツ時代に適したリモコンに目を輝かせる人は多い。しかし、私はどれもくだらないと思っている。これらの新しい技術はテレビが魅力であるかのように振舞うことで「延命」することは出来るかもしれない。確かに技術的に興味が惹かれる部分はあるが、テレビは単なるモニターであり、そこに映し出されるソフトがつまらなければ、解像度が上がろうが、リモコンが便利になろうが、そこに群がってくる人達は「商売」をしようとしている人達だろうと、私は思っている。

根本的にテレビの前に「大衆」を呼び戻したいと思うなら、視聴者を意識した、いや、視聴者をファンに変えてしまう位にコンテンツの作り方を変えることが大切だと思っている。

技術の進化も大切だが、コンテンツの中身をおざなりにしてしまえば延命に過ぎず、かといってコンテンツの質だけを高めても、スマートデバイス等に視聴者の時間は奪われてしまう。技術とコンテンツ両方の改革が今の放送業界には大切なのだ。

それは簡単に出来ることではなく、長い道のりになるだろうし、一つの番組だけでなく、テレビ業界全体で取り組まなければ実現に至るのは難しい課題だとは思う。

しかし、その厳しい現実の前に「仕事ハッケン伝」の取り組みは、「テレビの前にファンを」呼び戻そうとしているのではないかと感じる。そのファンの数は視聴率を左右するほどの数ではないだろう。しかし、明らかにこの番組の視聴者は他の番組の視聴者と異質なほど番組を楽しみにしているのでは無いかと思う。

一ファンとして、これからも「ファンを意識した」番組作りを応援したい。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。