紙媒体出身ライターとウェブメディア出身ライターの違い

先日、宣伝会議さんに「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」を取り上げて頂けるということで、インタビューに応じました。

インタビューに応じること自体はこれが始めてでは無かったのですが、自著に関する「特徴」や「セールスポイント」を説明するというのは案外難しいんですね。というのも、出来上がったばかりの書籍ですから「セールスポイント」はと言われても「全部です」というのが本音。普段から製品比較などを行い客観的な視点で物事を見て、特徴を抽出することには慣れていたと思っていたのに、いざ自分の著作となると、全部を伝えようとしすぎてまとまりの無い話になってしまったんですね。

しかし、出来上がった原稿を見せて頂くと、自分でも整理出来ていなかった本書のセールスポイントや、特徴が綺麗にまとめられている。しかも、17行×23、およそ原稿用紙一枚分のスペースに綺麗に文字が収まっている。

※厳密には取材頂いた方はライターではなく編集長です

紙媒体出身ライターの良いところ

1) 伝えるべきことを文字制限の中で伝える訓練がなされてる
私は、ウェブ媒体を中心に書いてきたので、文字制限は基本的にありません。時折紙媒体にも書きますが大抵はテーマが決められていてページ数の指定はアバウト。編集の方が図版等を調整してページ内に上手く収まるように調整してくださいます。

こういう環境で育ってきたので、字数に制限をかけるというよりは、言いたいことをアレもコレも詰め込んでしまうように成長してしまいました。お陰で書籍書く時は、いつもだいたい100ページはオーバしてしまったり。この辺りは本当に反省しないといけないことですが、紙媒体の方の要点を見極め、無駄をそぎ落とす技術を学びたいと思いました。

2) 著者も気づいていなかった点を引き出してくれる
出来上がった紹介原稿の中の一文に「広告業界の担うべき役割、顧客の要求の変化に気づき奮闘し、組織の壁を越えようとしている人たちに勇気を与える」という文がありました。でも、インタビューの時に私の口からは「読者に勇気を与える」とは出ませんでした。

しかし、出来上がった原稿の中には、その一文、自分が一番伝えたかったこと、「手にした人が前進するための勇気を与える本」だと書いて頂いてました。実は、読者の中でこの本を読んで「勇気を貰った」と言ってくださったかたがいたのですが、この言葉を頂いたとき本当に嬉しかったんですね。

インタビューとは「話し手の意見を書くこと」だけがインタビューでは無く、「話し手すら気づいていなかった本質」を引き出すことがインタビューの極意なのかな、そんな風に感じました。

ウェブ媒体出身ライターの良い所

1) 読者を意識している
これは、新聞記者の方と話していた時に関心されたことですが、新聞記者というのは「読者」を意識することはあまりないそうです。というとお叱りを受けるかもしれませんが、少なくとも面白い記事を書こうとか、ファンを作ろうとかそういう視点では記事を書かないということです。

新聞記者という仕事は、事実を記すことが目的ですから感情や私見を挟まず書きますから、基本的には記事を無機質なものにするのが新聞記者の仕事と言えるかもしれません。それに新聞の記事の枠が決まっているので何人に読まれたかということが成績になるわけではありませんから、人気取り的な記事を書く必要性も無いでしょう。

しかし、ウェブ媒体のライターはそうはいきません。書いた記事のPVが少なければ次から執筆依頼が来なくなります。原稿を書いて終わりでは無く、原稿が公開されれば、自ら告知してPVを少しでも増やそうとします。こういう側面があり、かつ紙媒体出身ライターよりも原稿執筆料が安いので人気のあるウェブ系ライターはウェブ媒体で重宝されていたりします。

2) フットワークが軽い
変にプライド持っている人が少ないので、声かけると気軽に会えたり、記事にしてくれたりします。企業の方などもこういう特性に気づいている広報部の方などは、まずはウェブ系ライターに声をかけ、ソーシャル上に小さな声を拡散させ、そこから火種を大きくしてマスメディアに点火させるという戦略を立てる企業も出てきています。

紙媒体はリーチ力が高い反面、小さな出来事はなかなか取り上げてくれませんから、上手に使い分けることをお勧めします。

文筆業と言っても色々ある

一言でライターと言っても得意とするテーマや文体は大きく異なります。私は今までウェブ媒体中心に書いてきて、書籍も三冊出させて頂き、そこそこ文字は書ける方だと思っていました。しかし、本当に紙の世界で訓練されてきた方の文章は「プロだ」とうならされてしまうものがあるんですね。

紙媒体で書きたいと思っても中々叶うものではありませんが、そういう厳しい舞台でも活躍出来る場を増やしてみたいと感じました。



この記事のタグ: ,


関連する記事

  • 嫉妬というより、「哀れみ」でした

  • イケダハヤトさんへ、すっかり変わってしまいましたね

  • ブログ更新を継続するコツ

  • 自由になるために必要な預貯金

  • クリエイターになるということ

  • ブロガーは無報酬でなければいけないのか

  • グーグルページランクが突然4からページランク外になってしまった


  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。