変化するコンシューマという定義

ここ最近、かつては「コンシューマ(消費者)」と呼ばれた言葉が、色々な呼び名に変わっている。今の消費者は物に満たされているので消費をしない「生活者」になったという呼び方。私も世の中の流れに逆らえずこの呼び名を使ったりしているが、実はあまりしっくりこない。

最近流行っているのは「ユーザ」だろうか。テレビ業界を中心に「視聴者はユーザになった」という変化が出てきているようだ。これは何となくわかるし、それほど違和感も感じない。テレビという存在はビッグデータ時代には「インフォメーション」の一部に過ぎず、インターネットメディアへと変化していくのなら、ユーザと表現するのは有りだと思う。

コンシューマは今でも「コンシューマ」である

しかし、私は「コンシューマ」は今でも「コンシューマ」であり、むしろ以前よりも消費している物は増えているように思う。「消費」する物が変わったにすぎない。

企業がコンシューマに望む「消費」とは、「お金」を浪費してくれることなのだろう。確かにそう考えれば「お金」は消費しなくなった。長引くデフレ、増えない収入、先行きの見えない日本経済とあれば、自ら進んでお金を使う理由は無い。

しかし、インターネットの普及で「お金」をかけなくても楽しめる娯楽は増えた。SNS、Youtube、ブログ、一生かけても消費しきれないコンテンツがインターネットには無料で溢れている。

「コンシューマ」は「お金ではなく」、「時間」を消費しているのだ。そして膨大な量の「コンテンツ」を消費していく。それと同時に大量のコンテンツの「生産者」でもある。時には自らが「消費」されることを選択する個人も現れだした。溢れる出会いで「絆」や「友人」でさえ「フロー」と呼び「消費」してしまう人も居る。

今の時代の消費者は「お金」という限られた物質を消費していた時代よりも、多くのものを「消費」している。それが今のコンシューマの実態では無いだろうか。消費者を生活者やユーザと呼ぶその背景には、今の消費者が消費している物が見えていないのかもしれない。もし、そうであるならば「売り上げ」という指標以外の消費者の行動を知る「指標」が求められているということでは無いだろうか。

ビッグデータ時代とは、従来の指標では測ることの出来なくなった「消費者」の姿を、浮き彫りにするアイデアを持った企業が成功する時代では無いだろうか。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。