2013年版 絆の種類

私がTwitterを開始したのが2009年10月23日からだから、そろそろ四年が経過することになる。ソーシャルメディア自体はブログやmixi、もっと言えばパソコン通信時代も考慮すれば20年以上は接してきたことになる。

それでも、Twitter、Facebookの流れが生まれた2009~2011年は異常事態だと感じた。誰もが「絆」を求めて奔走する時代、「絆のバブル」。今振り返って見るとそのように感じる。そんな中、私も「ソーシャルメディア実践の書」という一冊の本を書いた。「絆のバブル」の中に有り、これからの「絆」の意味は変わっていくかもしれない、無縁社会と呼ばれるものは、ソーシャルの時代には「無縁」にかなるかもしれない、そう信じていた。

ソーシャル利用以前の絆の形

「ソーシャルメディア実践の書」の中に、「絆」について触れた部分があるので抜粋したい。
ソーシャルメディア以前の絆ソーシャルメディアを利用する以前の人間関係とは、家族の血縁、親友から構成される「強い絆」、友人や会社といった地縁が大きく関係する「仲間の絆」、この二つの絆の存在が大きかった。しかし、時代の変化と共に、これらの絆は脆くなり、「無縁社会」へと近づいていっているという説だ。

2010年版 絆の種類

それが、ソーシャルメディアを活用することで、こう変化すると書いた。本書は2011年に出版されたので、この絆のイメージは2009年~2010年末までの体験から想像したものだ。2010年の絆
仲間の絆にはFacebookグループやmixiコミュニティが加わった。

新たに「弱い絆」を設けて、Facebookの友達、Twitterの相互フォロワーのうち最大150人がこの絆の中に入るとした。これは、ロビン・イアン・マクドナルド・ダンバー教授のダンバー数として良く用いられる数字で、人間関係や組織の最大値として良く用いられる。ダンバー教授は人間にとって、平均約150人(100-230人)が「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」であると定義している。

更に、TwitterやFacebookで一方的に関心を寄せられる絆も有るとして「一時的な絆」と表現した。この絆は一方的に寄せられるものなので、数に制限は無い。

2013年版 絆の種類

2013版絆の種類

強い絆に変化は無い。この絆は今後も変わることは無いだろう。一時的な絆にも変化は加えていない。

仲間の絆はシンプルに「友人」であるとした。また、この絆の中にあったFacebookグループやmixiコミュニティの文言は削除した。誤解しないで頂きたいのは、Facebookで繋がっているだけだけれど「私達は友人だ」という考えを否定しているのではない。仮にFacebookで繋がっているだけの関係でも「互いに友人」であると、考えているのなら勿論その絆はここに分類される。デジタルで繋がっているかどうかは「友人」であるかどうかに影響しないということだ。

弱い絆を「知人」であるとした。これは「友人」ではないけれど「知人」と認識している人達が入る。「友人」とまではまだ考えられていないわけだから、デジタルツールで繋がっている人の多くが、ここに分類されることになるだろう。

図の右上に「無限」と付け足した。絆に名前はつけていない、そもそもこれは「絆」では無いのだから。SNSを集客目的として捉え、集客目的や勧誘目的で誰から構わず繋がろうとしる人だ。あえて名前をつけるとすれば「スパム」とでも表現しようか。この人達は本人は気づいていないが、例えデジタルで繋がったとしても「知人」とすら認識して貰えない。著名人のコメントに「おはようございます」とコメントをする、「シェアさせてください」とコメントを残してアピールする、コンサルタントの教えに従って「自分の存在」をアピールしようとするが、コミュニケーションがとれていないので「知人」として認識されるどころから「スパム」とFacebookのシステムすら反応してしまう。

デジタルはきっかけを作るだけ

これは、昔から言っていることだが、ソーシャルメディアは「出会いのきっかけ」を作ってくれる。それは今でも間違いない。

しかし、それはきっかけにすぎず、そこから「友人」と感じるか「親友」と感じるようになるかは、昔も今も「変化」はしていない。ソーシャルの力で「きっかけ」から「知人」になり、「友人」へと自然と変化していくように感じたこともあったが、趣味や職業、住んでいる場所や価値観が異なる人どうしが単に繋がっただけでは、「友人」へと変化することは無いのだ。

これは、2010年の頃には、ソーシャルの力で「変わるかも?」と思ったことはあったが、千を超える絆に触れて、「それは無い」とはっきり断言出来る。識者の中には、絆をクローズドやオープン、フローやストックと表現する人もいるが、デジタルの力で絆の本質は変わることは無く、自然と共通の価値観や気が合う人の元へと絆は収束していくというのが、私の考えだ。

知人から友人、友人から親友へと絆を強くするものは、デジタルの力ではなく、「心の繋がり」だ。「心の繋がり」を強化するには、愛情や友情が必要になる。「いいね」を幾ら押しても、愛情や友情は芽生えない。逆に愛情や友情があれば、「いいね」が無くても、電波がなくても繋がっていられるのだ。

ソーシャルメディアのもたらした最も大きな功績は「はかない絆」によって、「絆の価値を再考」することで、家族や友人を大切にしようと考えさせてくれることなのかもしれない。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。