コンテンツにフリーライドする広告

どこのウェブサイトにもある「バナー広告」。たいてい右上の方に鎮座している。あまりに定位置に存在し続けため「広告」とわかっている生活者はクリックしない。広告業界の中ではクリックされないバナー広告に変わって「記事広告」を使った「面白い広告」作りがちょっとしたブームになっている。一方でバナー広告の価値をあげたいグーグルはバナー広告をリッチにする動きがある。

最近は「ユーザに広告の上にマウスを合わせる」ように呼びかけるバナー広告を目にする機会が増えてきた。例えばこんな感じだ。
マウスを上に乗せると拡大する広告

この広告の上にマウスカーソルを移動させると、サイト全体に覆いかぶさるようにバナー広告が拡大される。
拡大表示された広告

拡大後のバリエーションには色々とあり、Youtube動画が表示されるものや、Flashが起動し簡易ゲームが実行できるようなものも登場してきている。バナー広告は右上でひっそりしているものではなくなりつつある。

コンテンツにフリーライドする広告

通信回線や端末の性能が向上しているのだから「広告がリッチ」になるのも自然な流れだ。今のところ「広告の上にユーザがマウスを移動させた」時のみ、広告が拡大されるわけなので、訪問者の邪魔をしているわけでもない。

ただ、一方で、気になるのは今まで脇役でしかなかったバナー広告がリッチになっていくことでコンテンツ提供側の人間にとっては「タダ乗り」されてしまったような気もなくはない(勿論、クリックされることで広告収入が入るわけなので、クリックされることは運営者側にとっても良いことなのだが)。

その昔、動画視聴サービスが登場したころ、帯域を圧迫する彼らは、通信事業者から「ただ乗り」と非難された。広告がリッチになることでサイト運営者が怒り出すような未来は訪れるだろうか?

もし、広告業界のクリエイターが本気になって取り組み「バナー広告」が今よりもっと面白くなったら?例えばバナー広告にカーソルを合わせるとドラクエ1が起動し途中まで遊べたりしたら?平行してAndroidにアプリがダウンロードされ、ブラウザでプレイした続きからAndroidで遊べたりしたら?そんな「広告」が普及しだすと「サイトの中身」より、みんな広告に夢中になってしまうのではないか?

・・・が、今のところは、そんな心配をする必要はまったくなさそうだ。ただ、バナー広告がこのままリッチになり続ければ、どっちが「コンテンツ」なのかわからない未来が訪れるかもしれない。果たして技術の進化によって「広告はもっと面白く」なるのだろうか?」。バナー広告の進化にまけないよう、魅力的なコンテンツの製作を心がけたい。



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  • プロフィール

    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。