ザ・アドテクノロジー 現代広告に携わる全ての人の教科書として

ザ・アドテクノロジー

今広告業界で話題の書籍「ザ・アドテクノロジー」を献本頂いたので紹介したい。まず、本書の特徴だが執筆人の豪華さが挙げられる。アタラ合同会社CEO杉原剛氏、同社COO岡田吉弘氏、有園雄一氏、株式会社mediba CMO兼株式会社スケールアウト取締役CMOの菅原健一氏といった、アドテクノロジーに興味ある人たちなら誰もが知っていると言っても過言では無い業界の第一人者達によって書かれている。

古くからアドテクノロジーに携わってきた執筆人によって、アドテクノロジーの黎明期から現代に至るまでの推移が「メディアの視点」「広告主の視点」から書かれている。

ソーシャルメディアのブームから広告業界に参入した人も多いのでは無いだろうか。そういう人たちにとっては今までの歴史を知る意味でも「教科書」的な役割を果たしてくれる良書である。例えば、個人ブログなどでは未だに広告主から直接広告素材を貰い期間指定で貼っている「広告ベタ貼り」というケースもある。グーグルアドセンスも良いが「広告ベタ貼り」は広告単価が増えることもおおく、メディア側としては今でも「美味しい」からだ。

メディアにとって「利益の出る美味しい広告」は広告主側には美味しくない場合もある。メディアが広告枠を用意し、広告を集めて買っていた「広告ベタ貼り時代」から、より効率的に広告を集め配信する仕組みを備えたアドネットワークが登場し、さらに秒単位での広告枠売買が可能になったRTBといったようにメディア側、広告主側の双方にとっての課題、解決策がどのように推移してきたかがとても丁寧に解説されている。

過去から現代にかけてどんな技術が登場し適材適所で提案出来る基礎知識を学ぶ上でも過去を学ぶことは無駄ではない。むしろ複雑化するアドテクノロジーについて体系立てて説明出来ればクライアントの信頼を獲得することにも繋がるだろう。

近年アドテクノロジーは毎年のように技術が進化しており、ここ数年間で台頭してきた技術をキャッチアップしたい人にも自信を持ってお勧めできる。

技術は最新が一番、おもてなしは昭和の温かさが心地よい

本書を紹介したくなった理由には本書の内容が良かったのは勿論なのだが、実はもう一つあった。それは、書籍に同封されていた「手紙」だ。最新のアドテクノロジーを伝える本に、手書きで書かれた手紙。なんとも言えないこのギャップ。手書きの手紙なんて貰うのは何年ぶりだろうか。今では年賀状もパソコンで作成するのが当たり前になっている。

技術は最新、おもてなしは昭和の温かさ

アドテクノロジーやデジタルマーケティングを検討していると、どうしても「効率」を追求してしまいがちになってしまう。そんな時、時折ふと疑問に感じてしまうのが、果たして効率だけを追求するのがテクノロジーの役割なんだろうか?人をデジタルによって数値化することで、一層顧客が分からなくなってしまっていないだろうか?そのテクノロジーで本当に顧客は嬉しいだろうか?と。

最新の技術を学ぶことは大切だ。しかし、時に人の心を動かすのは「非効率な人の一手間が見えた時」なのではないだろうか。

アドテクノロジーの本質とは、顧客と接しない部分を極限まで効率化することで、より一層顧客に接する部分に注力出来るようにするための武器なのかもしれない。



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    大元隆志(おおもと たかし) 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース講談社 現代ビジネスCNET翔泳社EntepriseZineITmedia マーケティングITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。